民主主義の別の顔-「民主国家」イスラエルでは選挙キャンペーンに先がけて軍事キャンペーンが行われる!
2009年02月25日付 al-Hayat 紙

■減速せよ…前方に「選挙」あり!

2009年02月25日付アル・ハヤート紙(イギリス)HPコラム面

【ズィヤード・ブン・アブドゥッラー・アッ=ダリース:本紙】


もし、この宇宙に「民主主義」という理想都市が存在するとすれば、その市長プラトン氏は通りや道々に「減速せよ…前方に選挙あり」、「注意…60km先の日には、急な選挙カーブあり」と警告する交通標識を立てなければならないだろう。これらはすべて単純な理由によるものである。それは、民主都市の市民に公正でまともな暮らしを保障するためのものだった選挙が、人の命を奪うようになったからである。


世界中の国々では、選挙に先立って候補者の選挙キャンペーンが行われる。だがイスラエルでは、頻繁に軍事キャンペーンが選挙の前に実施される。イスラエルでは広報キャンペーンのデザイナーが不足しているから、選挙キャンペーンの立案をイスラエル軍の将官たちに任じたのであろうか? 世界で最も巨大な広報キャンペーン機関はユダヤ人が所有しているにもかかわらず 。

もっとも重要な問いは、ガザに対するイスラエルの残忍な戦争は、選挙のためだったのかということである。もし答えが「はい」であれば、罪よりも卑劣な言い訳である。もし答えが「いいえ」なら、すべての言い訳よりも卑劣な罪である。

民主主義の怪物集団の“投票箱(Sunduq Intikhab)”が、子供を失った母親、憔悴した老人そして孤児たちの“嘆きの箱 (Sunduq Intihab)”になるなんて?! なんてひどい 民主主義だろう! 投票箱が、経済封鎖下にあり武器もなく、死に投票することしかできない 人々に対するロケットに変わるなど、耐えられることだろうか?! 死を招く民主主義など、忌々しい!

そしてオルメルトが何時にでも敗北し、ネタニヤフとリブニがどんな条件ででも、たとえ手を血に染めてでも勝利できるということだけで、西欧は恥ずかしげもなくイスラエルを地域で唯一の民主主義国と呼ぶ。西欧は投票箱がたっぷりありさえすればいいのだ。たとえそれが屠殺人 の家に置かれていたとしても!

しかし、イスラエルにおける戦争と選挙との明白な便乗 主義的関係は、西欧諸国がイスラエルのガザ攻撃に対する理解を表明することを阻まず、ハマースの対イスラエル戦争を理由に自衛の権利を支持させさえした。

最近のイスラエルの選挙結果が、「リクード」、「カディマ」、そして「イスラエル我が家」の人気によってイスラエルの右傾化を示したとするならば、次のイスラエルの選挙は絶対に、「爆弾が仕掛けられた」投票箱で行われるだろう!


我々は、民主主義が独裁主義よりも多くの罪を犯す時代にいる。選挙は、正義と自由への希望を与えるよりも恐怖を与える。それゆえ、世界の地雷原となっている様々な地域でのデリケートな選挙が目白押しの今年(2009)、我々はみな恐怖心を持って当然である。

-イラクでは12月の議会選挙に向けた県議会選挙が、先の1月に行われ、民族、宗派、氏族間の対立が、危険なイラクの投票センターに暗い影を落とすことだろう。

-イランでは大統領選挙が2009年6月に行われ、保守派は改革派との激しい競争に直面するだろう。イスラエルが右傾化した後、イランが右傾化しないことがあり得るだろうか?!

-レバノンでは国民議会選挙が2009年6月に予定され、約2年前に発生した2グループ、3月8日勢力と3月14日勢力の両極化が岐路に立つことになるだろう。「姉妹国家」イランの選挙は、その数日後に行われる予定であるにもかかわらず、レバノンの選挙に影響するに違いない。レバノンの選挙レースそのものの影響だけでも、十分に大きいだろう。

-アフガニスタンでは、人々が2009年8月に次期大統領選出のために投票する。国外的には賞味期限切れに見えるハーメド・カルザイは、今度こそは国民による選択を味わうために、国内的に立候補する。アフガニスタンの人々は、よく知られているように、投票のための 武器を磨き、銃弾を装填し始めている!

-南アフリカにおいては、議会選挙と大統領選挙が2009月3月と4月に予定されている。アフリカの人々は、マンデラが1994年に大統領の座に到達した時の雰囲気を取り戻したいと思っている。

-インドネシアでは、世界最大のイスラーム国における選挙で 、何百万人ものムスリムが2009年7月に新大統領を選出する。

-ドイツでは議会選挙が2009年9月に行われ、世界金融危機に対処するための安全策と解決が争点となるだろう。

-そしてインドで行われる2009年4月の新議会選挙は、6億5千万人のインド人投票者にとって選挙参加の機会となるだろう。6億5千万人もの投票者である! どれだけの投票用紙、ペン、インクパッド、投票箱、選挙掲示板、開票作業委員や監視記録帳が必要になるだろうか。これだけ多くの事務用品を浪費したにもかかわらず、インドは「近隣」の友好国や姉妹国から、「投票なし」での選出という、より早くそして簡単な方法を学んでこなかったのである!


2009年は選挙の年である。
2009年は恐ろしい年である!
なぜ西欧がイスラエルを地域唯一の民主主義国と呼ぶか、今理解した。なぜなら、イスラエルは民主主義の名の下に「殺す」唯一の国だからである!

親愛なる『民主主義』市の市民たちよ、
注意せよ…前方に選挙あり!

*筆者はサウジアラビア人記者

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( 翻訳者:ホサム・ダルウィッシュ )
( 記事ID:15889 )