レバノン大統領がフランス公式訪問、ダマスカスではレバノン大使館開設
2009年03月17日付 al-Hayat 紙

■ ダマスカスにレバノン大使館開設
■ ムアッリム・シリア外相、「在ベイルート・シリア大使を近々任命する」と述べる
■ スライマーン・レバノン大統領、サルコジ仏大統領から和平会議の計画を伝えられ、「レバノンを犠牲にした解決は行わないとの確認」を得る

2009年03月17日付アル=ハヤート紙(イギリス)HP1面

【ベイルート、ダマスカス、パリ:本紙(ランダ・タキーッディーン、アルリート・フーリー)】

 レバノンは昨日ミシェル・スライマーン・レバノン大統領が行った重要なフランス公式訪問の中で、新たな国際的支持を得た。訪問の1日目にはニコラ・サルコジ仏大統領との会合が行われ、単独会談をはさみ、スライマーン大統領を迎えてのサルコジ大統領主催の晩餐会が開かれ、スライマーン大統領にはレジオン・ド・ヌール勲章が贈られた。

 レバノンとスライマーン大統領にフランスがあらためて支持を表明するのと時を同じくして昨日、在ダマスカス・レバノン大使館にレバノン国旗が掲げられ、ラーミー・ムルタダー代理大使が開設を宣言した。一方、ワリード・ムアッリム・シリア外相は「シリアは近々、在ベイルート大使を任命する」と発表した。

 フランス消息筋によると、サルコジ仏大統領はレバノン大統領に国際和平会議に関する計画を示し、今年夏前にこの会議を開催するべく急ぐ必要があると述べた。同筋はサルコジ仏大統領とスライマーン大統領がエリゼ宮で行った会談の後、「フランス政府はこの会議を招致する用意がある」と述べた。

 また同筋は、「スライマーン大統領はシリア・イスラエル間交渉の近い再開への期待を表明した」と述べ、レバノンについては、イスラエルが国際決議を履行し、今なお占領されているレバノン領から撤退する必要性を主張した。また同筋によると、レバノン大統領は国内に40万のパレスチナ人が存在することに言及し、それは小国にとっては重荷であるため、パレスチナ人は帰還の権利を得るべきだと述べた。また同筋によるとサルコジ大統領は、「建設されるべきパレスチナ国家が建設されるとすれば、それはパレスチナ人がパレスチナへ戻るためだ」と述べた。

 会談を終えフランス大統領府を去る際に行った声明の中でスライマーン大統領は、「サルコジ大統領と対ガザ戦争後のパレスチナ・イスラエル問題について話し合った。中東とりわけレバノンへの開放的な姿勢に努めるフランス大統領と、見解は常に一致している。シリアとの関係は整然と進行している。サルコジ大統領はこの件に、根本的に大きな関心を持っている」と述べた。

(中略)

 レバノン議会選挙について、消息筋が伝えたところでは、スライマーン大統領は「対話が進むなか、現在の政治的な状況ははるかに改善している」と述べ、サルコジ大統領は「選挙の公正を保つため、EUはフランス人を含む監視員を送る」と述べた。

 レバノン特別法廷については、同筋によるとサルコジ大統領は同法廷の設置を歓迎し、そのことを重要なステップと表現するとともに、「フランスは同法廷を全面的に支持し、処罰が行われないことや、その作業を遂行すべき同法廷の政治化を拒否する」と述べた。

 シリアとの関係については、同筋によるとサルコジ大統領は在ダマスカス・レバノン大使館の開設など現状に安堵を表明し、「これらの進展は正しい方向に向かっている」と述べた。

 シリアのファイサル・アル=ミクダード副外相は昨夜、アブー・ルンマーナ地区の米およびイタリア大使館の近くにある[在ダマスカス・レバノン]大使館の建物を訪れた。ミクダード副外相は、訪問の目的は「代理大使とレバノン大使館職員諸兄を歓迎すること」だとしつつ、「在ベイルート・シリア大使館と在ダマスカス・レバノン大使館が両国の直接の関係の深化と強化のための真のチャンネルとなることが我々の真の願いである」と述べ、「この歴史的で強固な関係は深いものであり、指導部はこの関係の強化を望んでいる」と強調した。

 ムルタダー臨時大使はミクダード・シリア副外相に対して、「在ダマスカス大使館開業にあたって御訪問の栄に浴したこと」を感謝するとともに、「大使館の業務は任命された新大使の到着をもって飾られることになるだろう」と述べた。

 フランス大統領府は声明の中で、スライマーン大統領のパリ訪問について「両国および両国民の稀有な友好関係を祝福するための機会」であると述べた。スライマーン大統領は、国家元首のパリ訪問に相応する歓迎を受けた。

 昨日はレバノンの政治指導者カマール・ジュンブラート氏の暗殺32周年記念日にあたり、同氏の子息であるワリード・ジュンブラート氏が左派諸政党の幹部らに取り囲まれ、カマール氏の墓廟の上に花輪を置いて追悼を行った。ワリード・ジュンブラート氏は、「[カマール・ジュンブラートの暗殺]記念日には、左派、アラブ民族主義、パレスチナ解放運動の色合いが濃いものでありつづけてほしい」と述べ、「イランの支援が合法的な正式のルートを通して行われるべきだというサウジアラビア政府の発言は非常に重要である。なぜなら、それは宗派間の緊張を軽減するからだ」と主張した。ジュンブラート氏はナビーフ・ビッリー国会議長らから父親[であるカマール氏]への追悼の連絡を受け、夜には[サアド・]アル=ハリーリー議員が同氏を訪れた。

 レバノン各地における選挙戦の熱が増すにつれて、政治的な発言における自制の呼びかけにもかからわず、国内の各勢力の発言も熱を帯び始めた。「自由国民潮流」代表のミシェル・アウン議員は側近の1人であるイサーム・アブー・ジャムラー副首相をベイルート第1区(アシュラフィーヤ)のギリシャ正教徒枠に立候補させることを発表し、『アル=ナハール』紙副社長であり故ジュブラーン・トゥワイニー議員の子女であるナーイラ・トゥワイニー女史に「まだ資格がない」としてアブー・ジャムラー副首相に譲るべく立候補を辞退するよう要請した。アウン議員はアブー・ジャムラー氏をレバノン南部で立候補させるつもりであったが、アスアド・ハルダーン・シリア民族社会党党首をマルジャアユーン・ハースバイヤー(アブー・ジャムラー氏の出生地)選挙区で再立候補させる合意が反対派勢力幹部の間で成立している。アウン議員は「ハリーリー氏が19年間植民地化してきたアシュラフィーヤへ戻りたくはない」と述べ、ハリーリー議員を攻撃した。

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:16157 )