コラム:ダーバン反人種差別会議におけるアラブの要請
2009年04月20日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 出席せずしてイスラエルが勝つ

2009年04月20日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面

本日ジュネーブで、反人種差別会議「ダーバン2」が開始される。150ヵ国の出席が見込まれるこの会議をボイコットする少数派がおり、その中にイスラエルと合衆国が含まれている。

正式には会議に出席すらしないイスラエルが闘いに勝ち、いつものようにアラブ諸国は、出席し、参加国の多くがその要請を支持してくれるにもかかわらず、負けることになる。つまり、占領パレスチナにおける人種差別的行いについてイスラエルを糾弾する表現は、全て(最終声明からは)抹消されている。

残念なことに譲歩は、参加したパレスチナ代表団並びに欧米の圧力を受けたイスラム会議機構メンバー諸国により行われた。最終声明を修正すれば、アメリカとイスラエルがボイコットを撤回するのでは、との希望の元に。

キューバ代表団長でもある反差別諸国スポークスパーソンは、「作為的」圧力と隠れた脅迫のため、より包括的な最終声明への合意が得られなかったと認めた。またそれは、アラブ諸国がはらった「犠牲」のせいでもあった。国連人権高等弁務官は、イスラム会議機構メンバー国、特にパレスチナ代表による「素晴らしい協力」を評価したが、つまり、パレスチナ代表団は、「反差別の歩みを進める合意を実現すべく、重要案件を犠牲にする」ことを決定したのだ。

しかし、このアラブの、つまりパレスチナの犠牲は、合衆国、イスラエル、そしてオランダやイタリアのような欧州諸国を説得し会議ボイコットを撤回させるには至らなかった。何の対価も得られない無償の譲歩。アラブの悲劇がより醜悪な形で繰り返されただけである。

南アフリカのダーバンで第一回会議が行われてから本日までの間に、人種差別的諸機関と闘いその犯罪を阻止するというこの会議の崇高な目標が再確認される数多くの事件が起きた。中でも顕著なものは、イスラエルによる南レバノン、並びにガザへの攻撃である。そこでは、人道に反する罪と国際的に禁じられた武器(白リン弾)の使用という二重の罪が犯された。

ユダヤ国家としてのイスラエルを承認せよというネタニヤフ政府によるパレスチナ人への要請も、人種差別の最たるものだ。この国の人口の五分の一を占めるアラブ系住民は、ユダヤ教徒ではない故に行き場がなくなる。そこから追われ、亡命地あるいは難民キャンプに暮らす6万以上のパレスチナ人の帰還も望めない。

南アの人種差別体制に対してそうされたように、イスラエルは会議から放逐されるべきであり、ボイコットなどが許される立場にはない。この国は、パレスチナ人に対し最悪の差別行為を行ってきた。占領地を訪れ、パレスチナ人に対するイスラエルの行いは、南アで白人政権が様々な段階で行ってきたことの上を行くと述べたデズモンド・ツツ大主教は、ノーベル平和賞の名を汚さなかった。

アラブ・パレスチナの譲歩によっても、会議に対するアメリカの「拒否権」を撤回させるに及ばず、米イスラエル、そして欧州の数カ国が依然参加を拒否している現状である。アラブ・イスラーム諸国は、最終声明から削除された文章の回復に向け一丸となって努力すべきだろう。際だって人種差別的に振るまい、パレスチナ・アラブに対し虐殺その他の罪を犯してきた国家としてイスラエルを糾弾すべきである。この会議に出席してくれと情けなく米イスラエルにすがったアラブ、特にパレスチナの恥知らずな譲歩が帳消しにされる道はそれしかない。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:16249 )