コラム:オバマ大統領による包括的中東和平に向けた新計画
2009年05月23日付 Al-Ahram 紙

■「事実」

2009年05月23日付アル・アハラーム紙(エジプト)HPコラム面

【イブラヒーム・ナーフィウ】

 米政権に近いアメリカ情報源は、バラク・オバマ大統領がアラブ・イスラーム世界に向けてカイロから発信する予定の演説で、イスラエルとアラブ国家間の包括的和平計画の概要を発表すると公表した。 

 このアメリカの新計画の中で最も重要な条項は、交渉はすべてのトラック(交渉経路)、すなわちパレスチナ、シリアそしてレバノン・トラックを含むという点である。特にパレスチナ・トラックについて言えば、アメリカの仲介によってパレスチナとイスラエルとの交渉を行う中で、両者が合意できる若干の変更を受け入れつつ、1967年6月5日以前の国境線に戻すという、明確な原則に基づく交渉を行うとされている。エルサレムについては二国家の二つの首都とする。すなわち、西エルサレムはイスラエルの首都になり、東エルサレムはパレスチナ国家の首都になるのである。そして1キロ平方メートルにも満たない東エルサレム旧市街は国際管理下に置かれ、国連が監督にあたる。

パレスチナ難民問題の解決については、パレスチナへの帰還を望む難民にはパレスチナ国家への帰還権を与え、帰還を望まない難民に対しては適切な補償をし、包括的な帰化プランを適用して現在居住している国、あるいは他の国の国籍を付与する。そして新しく誕生するパレスチナ国家は非武装とし、地域の周辺国家との関係には制限が加えられる。また新生パレスチナ国家は〔ヨルダン川西岸地区とガザ地区との〕地理的連続性と、あらゆる点での国家主権を享受するものとしている。

米政権の情報源によれば、バラク・オバマ大統領の補佐官たちが現在、6月4日に予定されるイスラーム世界とアラブ世界に向けたカイロからのオバマ大統領の演説で発表できるように、このイニシアティヴの最終的な調整に現在取り組んでいるという。

また同情報筋が確認したところでは、オバマ大統領は彼の最初の任期の終わり、つまり2013年末に行う予定の交渉に時間制限を設ける方針であるという。さらにこの計画には、交渉プロセスと平行してイスラエルとアラブ諸国との関係を正常化する計画も含まれており、イスラエルとパレスチナ・シリア・レバノンとの間で和平が締結される際に、〔イスラエルとその他のアラブ諸国間でも〕外交関係が樹立されるというものだ。

 つまり、バラク・オバマ米大統領の中東問題解決のためのプランは、解決はすべてのトラックを包含するものであるべきだとの明確な展望から来ているのである。

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( 翻訳者:ホサム・ダルウィッシュ )
( 記事ID:16528 )