イスラエル、東エルサレムをパレスチナの首都として承認しようとするEUの動きに警戒
2009年12月02日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 住宅を占拠したイスラエル人入植者とパレスチナ人が衝突
■ イスラエル、東エルサレムをパレスチナの首都として承認しようとする欧州連合の動きを警戒

2009年12月02日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ブリュッセル、ナザレ:ズハイル・アンドラウス(本紙)、諸通信社】

イスラエルとの平和的な協議を経た解決によって建設される将来のパレスチナの首都を東エルサレムとする主張が欧州内で強くなっていることに関して、火曜日、イスラエルとEU(欧州連合)との間で論争が勃発し、イスラエル外相は「スウェーデンの提案は、和平プロセス再開に寄与しないだけでなく、欧州の役割を周縁化させるだけだ」と警告した。

火曜日に外交筋が伝えたところによると、論争の発端は、東エルサレムを「将来におけるパレスチナの首都」と言及した文書をスウェーデン首相府がEU外相会議に提出し、承認を得ようとしたことにさかのぼる。欧州外交筋によると、この提案をめぐっては欧州自体、意見が割れているという。

イスラエルでは外務省が声明を出し、「このステップはEUが重要な仲介者としてイスラエル・パレスチナ間の政治プロセスに参加する能力を損なう」と表明した。

オリジナルがイスラエルのハアレツ紙に漏洩したこの文書の中でEUは、「東エルサレムを首都とし、ヨルダン川西岸地区とガザ地区を含めた、持続可能なパレスチナ国家」建設の支持を明言している。しかし外交筋によると、欧州の半数の国がこの案に賛成していない。また同筋は、「3つの選択肢が議題に上がっている:現案のままでいくか、現案を完全に放棄するか、または、修正を加えるかだ」と付け加え、第一の選択肢がおそらく最もありえそうにないと指摘した。

EUはイスラエルと平和的に共存するパレスチナ国家建設を堅持する立場を一貫して主張している。2003年には4者委員会(アメリカ、EU、ロシア、国連で構成)でロードマップを提示し、平和的に共存する「2国家構想」に呼応した「エルサレムの地位に関する解決策」を支持すると謳ったが、エルサレムを「首都」として両者で分割することには明確には言及していない。

今年11月18日にはスウェーデン首相府がEUに向けて、イスラエルによる東エルサレムへの入植について声明を発表し、「エルサレムをパレスチナ、イスラエル両国の首都とする解決案に向けて、調整を行わなければならない」と強調していた。ある外交官は、「イスラエルは驚くとともに、この声明に怒りを表明した」と語る。そして「このような文言が用いられたのは初めてで、イスラエルは先例となることを恐れている」と明かして、昨日火曜日にイスラエルが公に抗議した理由を説明した。

「エルサレムを両国の首都にする」との文案は、来週火曜日に開かれるEU外相会議で議論される予定の文書にもそのままの形で記される。

さらに火曜日には、パレスチナ人家族が所有権を主張している東エルサレムの住居を占拠したイスラエル人入植者とパレスチナ人との間で衝突が起きた。警察が介入するまでの間に入植者2名が負傷した。

同じく昨日火曜日には、ユダヤ人入植地での新規建設作業を禁じる政府決定を実施しようとしたイスラエルの監督官たちが、ヨルダン川西岸地区のジャイブで妨害を受けた。ヘブロン市に隣接するキルヤト・アルバア入植地の建設現場に入植者12名が集まり、建設作業を停止させるためにやって来た監督官数名を妨害したのである。警察や軍に同行された監督官に向かって一人の入植者が「あんたたちは恥を知れ」と罵声を浴びせた。入植者たちは空き地の隣に数戸の住宅が建っている丘の測量を行っていた。

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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:18043 )