「モビーン信頼開発社」の社長が急死:二酸化炭素中毒の疑い
2009年12月12日付 Jam-e Jam 紙


【事件部】イラン証券史上最大の取引として話題になったイラン電信電話公社の株式買い取りを成功させた「モビーン信頼開発社」の社長が、ガス中毒によって妻とともに自宅で突然の死を迎えた。

 刑事検察庁のモハンマド・ホセイン・シャームルー殺人特別判事はこう述べ、ジャーメ・ジャム紙に次のように明かした。「木曜日の正午頃、治安隊員から刑事検察庁に、ガス中毒にかかった男女がシャヒード・チャムラーン病院に搬送され、1時間以内に両名とも重度の中毒症状のために命を落としたとの報告があった」。

 報告の後、死亡した男性はマジード・ソレイマーニープール博士で、同博士はイラン電信電話公社株の買い取りでその名が知られるようになった「モビーン信頼開発社」の代表取締役であったことが判明した。

 シャームルー判事によると、刑事警察の鑑識チームが事故現場に派遣され、初動捜査の結果、夫妻はボイラー室から漏れ出たガスによって中毒症状を起こし、病院に搬送された後に命を落としたことが分かった。このことについて、法医学の専門家がソレイマーニープール博士とその妻の皮膚を一次的に検査したところ、夫妻が二酸化炭素中毒にかかっていたことが確認されたという。

 シャームルー判事はまた、「警察の報告によると、ボイラー室から漏れ出たガスがソレイマーニープール氏の居室に入ったことが分かった。本件について、事件性を疑わせるような証拠は見つかっていない」と述べた。

 刑事検察庁第一課のシャームルー予審判事はまた、「これまでのところ、この夫妻の死は事故によるものだとわれわれは考えている。ただしそれとは別に、薬学的調査や補完的捜査を行うよう、指示は出している」とも述べた。

 ファフロッディーン・ジャアファルザーデ次席検事(テヘラン刑事検察庁長官代行)も、自宅で死亡したソレイマーニープール夫妻をめぐる最新の捜査状況について、次のように述べた。「目撃証言や、専門家による初動捜査が示すところでは、夫妻の死は二酸化炭素ガスの吸入によるものである。現在も、刑事警察部門所属のスペシャリストや法医学専門家、その他捜査員らからなる捜査チームが、本件についての捜査を続けており、捜査結果については今後発表することになるだろう」と述べた。

ソレイマーニープール氏とは誰か?

 マジード・ソレイマーニープール氏の死亡事故が注目されているのは、証券史上最大の取引の中でイラン電信電話公社株の半分を取得した、何かと物議を醸したコンソーシアム(企業連合)を、同氏が率いる立場にあったためだ。

 「モビーン信頼開発コンソーシアム」は様々な疑問が指摘される競争入札の結果、「イラン証券史上最大の取引」に自らの名を刻むことに成功、イラン電信電話公社株の50%を80億ドルで取得した。

 モビーン信頼開発コンソーシアムに大量の株が譲渡されたことに対しては、多くの疑惑が持ち上がっている。同社に電信電話公社株が譲渡されたことに対し、国会議員や「競争評議会」の委員、その他多くの専門家らからは、この取引が無競争的な状況の中で行われたのではないかと疑問視する声が、一斉に上がったのだ。
〔※訳注:また、モビーン信頼開発コンソーシアムは革命防衛隊系の企業連合であるとされ、民営化の理念にそぐわないと批判する声もある〕

 当初電信電話公社株の取得を目指していた「ヤズド・キャヴィール沙漠開拓組合」は、取引が始まる直前になって入札から排除されたことに対し、民営化庁を告訴しており、民営化庁の関係者らは近く、この件について説明するために、裁判所に出廷することになっている。

 こうした問題にもかかわらず、有価証券取引管理機構は、今回の取引はすでに確定したものであるとの見方を示している。モビーン信頼開発社の広報も、「取引総額の20%に当たる1兆5640億トマーン〔約1500億円〕はすでに、有価証券中央信託社の口座に振り込んでおり、それゆえ今回の取引はすでに確定済みだ」と述べている。

 にもかかわらず最近、〔司法権の〕全国査察庁が電信電話公社株の取引は無効とし、競争評議会に会議を設置して、今回の問題について見解を表明すべきだとの見解を示している。ただし、競争評議会には会議を設置・開催するための庁舎がないという問題がある。

 それより前にも、「憲法第44条国会監視特別委員会」も、この取引に対して異議を唱えていた。
〔※憲法第44条は国の経済を、国営・協同組合・民間の三つに分けることを規定した条項で、民営化促進の法的根拠となっている〕

「モビーン信頼開発」コンソーシアムとは?

 モビーン信頼開発コンソーシアムは、投資会社である「信頼開発」と「シャフリヤール・メヘスターン」、及び通信事業会社の「イラン・モビーン・エレクトロニック開発」の三社による企業連合である。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:18065 )