ムーサヴィー元首相の甥殺害事件の詳細
2009年12月30日付 Iran 紙

【イラン・ネットワーク(inn.ir)】ミール・ホセイン・ムーサヴィーの甥のアリー・ムーサヴィーがアーシューラーの日に殺害された事件は、選挙後の暴動の初期にネダー・アーガーソルターンが殺害された不審な事件と同様、反イラン・メディアによる対イラン・プロパガンダ攻撃の恰好の口実となっている。このような中、ある情報筋は内乱を企てる逆徒による陰謀の存在について明らかにした。

 この情報筋はイラン・ネットワークの取材に、次のように語った。「アリー・ムーサヴィーはデモの最中に、治安部隊との衝突によって死亡したと暴徒たちは主張しているが、実のところムーサヴィーの甥は暴動・衝突が起きた場所からはかなり離れた場所で殺害された。彼は極めて不審な形で謀殺されたのだ」。

 「暴徒らがテヘランに不安定な状況を作り出し、宗教行事を行っている団体を襲撃しようと試みていたちょうどその頃、正体不明の人物数名がムーサヴィーの甥のあとをつけ、標的にしたのである」。

 この人物はこう述べ、さらに「これらの人物は車体の高い車に乗り、ネダー・アーガーソルターン殺害計画と同じように、閑散とした地域にある自宅付近でアリー・ムーサヴィーの姿を見定めた上で、彼に銃弾を浴びせた。銃弾は、テロ専用の銃器から発射されたものであり、数メートルの距離から発射された銃弾は彼の肩に当たった」と続けた。

 「襲撃犯は銃弾発射後、人々に見つからぬよう、すぐに犯行現場から逃走した。付近に居合わせた人々が銃撃を受けた彼を病院に運ぼうとしたが、彼が自らをムーサヴィーの甥だと言うと、人々は彼をシャードマーン通りにある公園の近くに置き去りにしてしまった」。

 この人物はこう述べ、さらに「その後の捜査で、アリー・ムーサヴィーを公園近くに置き去りにした人々は殺害事件の犯人として疑われるのを恐れて、彼を病院に連れて行くのをやめてしまったことが分かった」と語った。

 この人物はまた、「ムーサヴィーの甥は肩から出血していたものの、数時間は公園で息をしていた。しかしその後、スィーナー病院に搬送されている間に息を引き取った」とも述べた。

 この人物は、その後の治安警察の捜査で襲撃犯と思われる不審な人物を乗せていた車体の高い車が割り出されたと指摘した上で、「捜査官らは様々な情報を調査した結果、この車の所有者を特定した。車の所有者を署に呼び出し、取り調べを行ったところ、今回のテロの新たな事実が判明した」と述べ、さらに「この車の所有者が取り調べの中で供述したところによると、この車は事件の数日前に盗難に遭い、行方が分からなくなっていたとのことであった」と語った。

 しかしながら、車の所有者は盗難の事実についてその時点で警察に通報をしていないことから、この人物は現在警察によって容疑者として拘束中だとのことである。

 この情報筋によると、アリー・ムーサヴィー襲撃犯らが使用した武器は、〔警察や軍などの〕組織で使われているものではなく、テロ集団に特有のものだったという。

 また記者が入手した情報によると、アリー・ムーサヴィー・テロ事件をめぐる捜査については、治安関係者からミール・ホセイン・ムーサヴィーに通知済みであり、テロ計画の詳細について聞いたムーサヴィーはひどく懸念・動揺した様子だったという。

ムーサヴィーの甥は車に乗った人物によって暗殺された

 首都テヘラン治安維持軍司令部は声明を発表し、アーシューラーの日にテヘランで発生した事件の詳細について説明を行い、「ミール・ホセイン・ムーサヴィーの甥は車に乗った人物によって暗殺された」とした。

 ファールス通信によると、この声明には次のようにある。
アーシューラーの日、内乱を企てる逆徒は治安維持軍の献身的な隊員らが自制心を働かせていることをいいことに、事前の計画に沿って、外国人の指導・呼びかけに従う形で、反革命的な動きに出た。彼らは政府・公共・個人の財産を破壊し、ホセインを追悼する人々を襲撃し、彼らに罵詈雑言を投げかけ、治安部隊の隊員らに襲いかかった。これらの事件で亡くなった人々がどのようにして命を落としたのか、捜査の結果を以下の通り明らかにする。

・セイエド・アリー・ムーサヴィー=ハビービー氏は暴動の現場にはおらず、テヘラン・シャードマーン通りを移動中、デイ月6日〔12月27日〕12時〜13時の間に、車に乗った人物から銃撃された。病院に搬送されるのが遅れたため、同氏は出血多量により死亡した。事件を起こしたテロリストの特定に向け、大規模な捜査が続けられているところである。

・身元が判明している2名は、同日、革命通りとハーフェズ通りの交差点で、治安部隊の隊員に対して固い固形物による襲撃が行われているさなかに負傷し、病院に運ばれた後、死亡した。

・身元不明の1名は、橋から転落して死亡した。また身元が判明している2名は暴徒によるデモの最中、車にひかれて死亡した。これらの事件については、現在捜査が続けられているところである。

・身元不明の1名が暴動のさなか、ナイフで刺されて殺害された。

 テヘラン警察はまた、声明の中で次のように指摘している。
身元が判明している1名が同日、事件の起きた場所の近くで死亡しているのが、警察官らによって発見された。この人物は麻薬取り締まり検察で訴追されたことのある人物である。この人物の死は自然死によるものであり、暴徒や衝突とはなんの関係もない。死亡した身元不明者の身元を特定するための捜査が、現在治安維持軍刑事警察によって続けられているところである。


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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:18171 )