コラム:湾岸諸国の対イラン武装
2010年02月01日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 戦争に備える湾岸諸国
■ クドゥスの見方

2010年02月01日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面

このところアラブ地域におけるアメリカの動きが活発である。それは第一にイスラエル、次に湾岸諸国に集中している。アラブ・イスラエル闘争調停とは副次的にしか関わっていないこの動きの主眼は、イランの核への野望に対する措置である。アメリカの平和的提案を受諾するか否かのデッドラインは昨年12月の終わりに過ぎている。

アメリカの活動は二つに大別される。ひとつは米治安機関幹部らによるイスラエル非公式訪問である。先週はバネッタCIA長官が訪れネタニヤフ、バラク、及びダガン・モサド長官らとイラン核問題を協議した。1月初めには米国家保安局顧問ジョーンズ将軍もイスラエルを訪問した。

もうひとつとして、湾岸四カ国、特にサウジとアラブ首長国連邦への米兵器輸出が加速化している。これらは石油施設をはじめとするインフラ周辺の上空を防衛するために用いられるが、中にパトリオット・ミサイルの砲台も含まれている。イランが行い得るいかなる軍事攻撃も阻止しようとの狙いである。

多くの人が、このアメリカによる湾岸地域への軍事的関心を来るべきイランとの対決への備えとみなす。その時期は、イランに経済制裁を課す過程において、もしくはイラン核施設への空爆実施によって、あるいは、その双方によって到来する。特に首長国連邦とサウジを武装させる動きは、過去2年間であからさまになってきている。米公式報告によればその2国はこの2年間で250億ドルの米製兵器を購入した。

この武装の目的は、もちろんイランであってイスラエルではない。湾岸諸国とイスラエルは反イランで利害の一致を見た。したがってイランの軍事的能力、特に核兵器を破壊しようとするというのが大多数の観測者の見方である。イスラエルは事あるごとに湾岸諸国を煽り、イランを軍事的に叩かせようとする。サウジを名指して、イランを共通の敵とする軍事同盟の形成も要請した。イランがこの展開を座視するはずもなく、先週マヌーチェフル・モッタキ[イラン外相]は、イラン攻撃のため合衆国にその領土利用を許可した湾岸諸国に警告を発している。

米政権の親友たるブレア前英首相は、先週金曜、対イラク戦争調査委員会に召喚された際、イランに対する苛烈な扇動を試みた。今日のイランは7年前のサッダームのイラクよりもずっと危険であると彼は主張し、イランの核への野心に対しては、サッダームに対して行った以上の厳しい対処を欧米に要請した。そのブレアが、先週はサウジを訪問しアブドッラー皇太子他と会談した。イランの脅威についての見解を述べ、近い将来、核兵器所有に成功したイランとの対決が困難となる前に、力でもって対応するよう急きたてたに違いない。

嫌々ながらなのか進んでなのか、湾岸諸国は火遊びをしている。おそらく、彼らがイランとイスラエル・合衆国の対立における最大の敗者となるだろう。米イラク戦争では例外的な擦り傷(イラクのロケット弾数発がサウジの標的に命中した)だけで済んだが、今回は事情が異なるようだ。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:18383 )