コラム:イスラエルとの関係正常化を拒むエジプト
2010年02月04日付 al-Hayat 紙

■ エジプトと関係正常化

2010年02月04日付アル・ハヤート紙(イギリス)HPコラム面

【ダーウド・アッ=シルヤーン】

エジプト新聞連盟は、雑誌「デモクラシー」のハーラ・ムスタファ編集長に警告を発した。彼女がイスラエル大使とオフィスで会見したせいである。また連盟は、イスラエル大使のパーティに出席しイスラエルのビジネスマンたちと会ったという理由で、「オクトーバー」誌のフサイン・サッラージュ副編集長に3か月間の執筆禁止を申し渡した。連盟によれば、彼らの行いは「関係正常化拒否」というジャーナリスト総会の決定に違反するものであった。

エジプト・イスラエル和平協定から30年がたち外交、経済関係ともに発展してきても、エジプトの人々が[イスラエルとの]関係正常化を拒否することに変わりはない。大衆と文化のレベルにおいて、エジプトではこの和平協定は認められていないのだ。過去30年エジプトの各種労働組合は、関係正常化に頑として反対しており、イスラエル大使をカイロの邸宅に「軟禁」しエジプト社会から完全に孤立させることに成功している。

この関係正常化問題の中には矛盾も見える。それはおそらく、公的なエジプトと民衆のエジプトの深い乖離であろう。現実は、この乖離がさらに激しくなっていることを示している。そのような矛盾など存在しないという人もいるが、公的なエジプトは独自のやり方で関係正常化を拒絶し、そのことによって間接的に民衆の立場と協調しているとみなす人々もいる。民衆の立場とは自発的に現れるものであるが、政府はそれに介入せず完全に傍観する。ムバーラク大統領は、繰り返し招待されているにもかかわらずイスラエル訪問を未だ拒否している。この拒否は、政治的立場、パレスチナとの和平を巡る見解の相違といった見方からは説明しにくい。ヘブライ国家は、この拒絶に大衆的、文化的側面を見ている。

イスラエルとの和平はエジプトで国民的合意を得た。エジプトの人々は皆、和平に賛成した。しかし一方で、関係正常化をかたくなに拒む。エジプトはイスラエルとの関係をお試し期間とみているかのようだ。エジプトと他のアラブ諸国は「強者が弱者を制す」というルールに則ってイスラエルと付き合っているが、あえてイスラエルを受け入れようとする国はない。このような見方が近々変わるかというと、疑わしいところである。しかし、この精神的拒絶が和平プロジェクトの動きに影響することはない。イスラエルは、我々に押しつけられた隣人であり続けるだろう。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:18405 )