国境地帯にイスラエル軍が設置した有刺鉄線をレバノン人住民が撤去
2010年04月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 国境地帯にイスラエル軍が設置した有刺鉄線をレバノン人住民が撤去

2010年04月17日付クドゥス・アラビー 紙(イギリス)HP1面

【アッバースィーヤ】

 レバノン南部のアッバースィーヤ地区で金曜日、レバノン人住民らがイスラエル軍兵士の火曜日に設置した有刺鉄線を撤去した。AFP 通信社の記者が伝えたところによると、この行動を受けて国境の両側に展開する軍隊に動きが見られた。

 同記者によると、数十名のレバノン人住民らは南部選出のカースィム・ハーシム議員を先頭に、彼らがレバノン領であるとみなす土地に有刺鉄線が設置されたことに抗議して鉄線を撤去し、その場所にレバノン国旗を掲げた。

 イスラエル軍兵士らは火曜日にレバノンとイスラエルを隔てる「テクニカル・フェンス」の前面に有刺鉄線を設置しており、これを受けてフェンスの反対(レバノン)側ではレバノン軍部隊が臨戦態勢をとった。

 国連緊急部隊 の報道官はその際、イスラエル側が設定した「技術的緩衝地帯」のうち、イスラエルとレバノンの国境とされる所謂「ブルーライン」の南側に当たる地域でイスラエル軍がいくつかの軍事行動をとったと発表した。

 「ブルーライン」はイスラエルが2000年に22年間の占領の後レバノン南部から撤退した直後に国連が画定したものである。

 イスラエルがその後に設置した「テクニカル・フェンス」は、一部の地域ではブルーラインと交錯し、また他の地域ではブルーラインから数メートルの距離にある。レバノン側は金曜日の出来事が起こった地域など数ヶ所に関しては、国連の画定した境界線に異議を唱えている。

 レバノン軍報道官は木曜日、この地域ではイスラエルの「テクニカル・フェンス」が占領下のレバノン領内に設置されているため、レバノンはイスラエル側の撤退ラインを承認していないのだとAFP通信社に語った。

 また同報道官は、(レバノンは)ハウラー平原のワッザーニー川の河口からシャバア農場までの撤退ラインも承認していないと付け加えた。アッバースィーヤ地方はこの撤退ラインの内部に位置している。

 報道官はさらに、「この地域にはイスラエルが既成事実を作っており、UNIFIL[国連レバノン暫定軍]はこの既成事実の修正に取り組まなければならない」と語った。

 住民たちが有刺鉄線の撤去という行動に出た直後、イスラエル占領軍は戦車2台と兵士数十人を派遣し、境界線の反対側ではレバノン軍が臨戦態勢をとった。またUNIFILの部隊が急遽現場に展開した。

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( 翻訳者:片山満祐子 )
( 記事ID:18945 )