社会に警鐘を鳴らす尊属殺人の増加(3)
2010年04月28日付 Mardomsalari 紙

 プールハサン氏は続けて、こうした殺人の増加は社会が近代への過渡期にあることの結果だとの見方も示している。〔‥‥〕伝統的な社会では、男性は「独裁者」の役割を果たしてきた。〔家族内での〕重要事項の決定や富の配分、価値観の提示などは、男性に委ねられてきたのであり、女性や子供は、それらに従うものだった。

 プールハサン氏は言う。
〔しかし現代では、〕われわれの社会は、男性中心的なシステムから女性や子供への権力の移行を経験している。こうした経験は、極めて新しいものであり、そのため、激しい、ときに暴力的な反応を引き起こしてしまうことがある。また実際、社会制度の方も、こうした現象〔=男性の女性に対する暴力〕を支持してしまうこともある。

〔中略〕

未解決の対立の結果としての尊属殺人

 イラン刑事警察長官も、我が国における尊属殺人をめぐる状況に懸念を示し、「86年〔西暦2007年〕には、尊属殺人は殺人事件全体の40パーセントを占めており、憂慮すべき状況だ」と述べている。

 セイエド・アスガル・ジャアファリー司令官はまた、殺害された女性の50%が1親等の親族によって殺されていると述べ、関係者らに対し対策を練るよう求めた。ジャアファリー氏はさらに、このような殺人を減らすためには適切な基礎的・文化的措置を講ずる他ない、とも述べている。

 他方、アリー・ラマザーニー大佐によれば、尊属殺人の発生の主な原因は、家族内で生ずる対立に要約することができるという。

 テヘラン州刑事警察の捜査の専門家である同氏は、マルドムサーラーリー紙とのインタビューのなかで、家族内の対立から発生した問題を解決のための訴訟手続きに時間がかかりすぎていることを指摘した上で、「家族内で発生する殺人の大半が、家族の成員間に対立が未解決のまま残されていることの結果として起こったものなのである〔‥‥〕」と述べている。

〔後略〕

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( 翻訳者:小原智恵 )
( 記事ID:19053 )