IAEA報告書、これまでより急進的な内容に:イラン「IAEAはNPTにおける自らの権威を守るべき」
2010年09月08日付 Jam-e Jam 紙

イラン核開発に関する三つ目の報告書が、天野之弥氏によって提出された。この報告書は二面的な内容であるという意味で、ムハンマド・エルバラダイIAEA前事務局長の路線を踏襲するものである。しかしながら、違いも見られる。すなわち、IAEA新事務局長の報告書には、西側諸国による圧力の痕跡がきわめて色濃く残っている、という違いだ。

 IAEA事務局長は月曜日に発表した報告書の一部で、これまでの22のIAEA報告書と同様、イランの原子力施設に対して行われた査察結果について報告している。それによると、イランはIAEAと全面的な協力しており、核の平和利用について逸脱は見られないと指摘している。

 天野氏は48項目から成る報告書の一部で、ナタンズ核施設が稼働を続けていることについて言及し、同施設では、3.5%のウラン濃縮活動に加え、20%のウラン濃縮活動も行われていると報告、この報告書が作成された時点で、この施設で生産された濃縮度20%のウランの貯蔵量は22kgに達するとした。

〔中略〕

 天野氏は自身の報告の別の個所で、IAEA査察官二名がイランから追放されたことについて指摘した上で、「査察官の任命に対するイラン側の抗議は、査察活動のプロセスにとって障害となっており、イランにおいて保障措置を効果的に実施するIAEAの能力を弱めるものである」と述べている。

 その一方で、保障協定によると、査察官の選定はイランの権利である。イラン・イスラーム共和国としては、不正確な情報を提供して査察官としての権限を失った二名に代わって、新たな査察官を任命するよう要求している。

 しかし天野報告において最も問題となる箇所は、その終わりにある。いかなる証拠もなしに、一部の分析にのみ基づいて、イランの核の平和利用には不明瞭な部分があるとしているのである。

〔中略〕

IAEAは自らの技術的権威を守るべき

 IAEA事務局長報告の発表を受け、イラン外務省の報道官は、IAEAはNPTに対する枠組みのなかで与えられた自身の技術的権威を守るべきだと強調し、「こうした報告書の弱点とは、一部の国の政治的圧力・問題によって影響されている点にある。IAEAが法的な領域から逸脱し、政治的問題や圧力にかかずらうことは、自身の一般的責務から外れる行為である。非技術的問題に、さしたる信頼性はないと、われわれは考えている」と語った。

〔後略〕

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( 翻訳者:米川千帆 )
( 記事ID:20282 )