イスラエルがエジプト・シリアを核攻撃?
2010年10月08日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イスラエルがエジプト、シリアを核攻撃?

2010年10月08日付『クドゥス・アラビー』紙(イギリス)HPコラム面

 我々は今日、アラブ諸国軍、すなわちエジプト・シリア両軍がイスラエル国家に対して大いなる軍事的勝利を収めた10月戦争(第四次中東戦争)37周年を迎えている。しかしサーダート政権時代のエジプトに代表される多くの政治家達は、自らの役割や可能性をかけて同戦争に参加した全てのアラブ人の政治的勝利をうまく体現していない。

 エジプトのアンワール・サーダート大統領は迅速に停戦に踏み切った。そしてまた、占領下のエルサレム訪問やクネセトでの演説に代表される大胆な政治的賭けにすぐさま打って出た。この際、ともに戦争を戦い、勝利を共有したシリア人との真の協調を行うことなく、これがアラブ陣営の分裂とその後のエジプトの孤立を招いた。

 昨日、イスラエルの歴史家アブニール・コーヘンの著書がイスラエルで発売され、その中で同戦争によってモーシェ・ダヤン・イスラエル国防大臣が失脚したことが暴露された。失脚に際して、ダヤン国防大臣はユダヤ国家が消滅の途をたどっていると強く確信するに至り、そのことが、イスラエルの核問題の専門家、ユヴァール・ニアマン教授の証言に依拠している同本によると、シリアとエジプトに対する核兵器使用という発想を国防大臣に喚起させたという。

 ダヤン国防大臣の失脚について聞くのは今回が初めてではない。(中略)また、イスラエルの縮小閣議でダヤン国防大臣が核兵器使用を主唱しようとし、同閣議が見送られた事実が明らかにされたのも新しいことではない。だが、これまでとは異なるのは、イランやシリアに対するアメリカやイスラエルの脅威がエスカレートしているこのタイミングで上記の事実が明らかにされた点である。

 私達は陰謀論者に与するものではない。だが、同書出版のタイミングが特別な関心のもとで選ばれたと考えることは奇妙なことでない。すなわち、イスラエルを敗北させるために核の使用という選択肢をちらつかせ対抗する枢軸国に対し、日に日にエスカレートする精神戦の一部となるべくして、である。もし、このことが事実で、またイスラエルが第四次中東戦争中にエジプトとシリアに対する核攻撃を準備していたと仮定すると、イランや他のアラブ諸国が自衛のために核兵器を保有しようとすることに多大な正当性を与えることになろう。

(後略)

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( 翻訳者:神田春奈 )
( 記事ID:20369 )