アフマディーネジャード「ウィキリークスの文書には法的な価値はない」
2010年11月30日付 Jam-e Jam 紙

昨日、大統領による記者会見が開かれた。補助金廃止計画の実施が目前に控えていることから、記者らの質問もこの問題に集中した。

 マフムード・アフマディーネジャード大統領はこの記者会見の席上、補助金の廃止をめぐる様々な質問に答えつつ、来るイランと5+1諸国〔※国連安保理常任理事国5カ国+ドイツ〕との協議についても発言し、「トルコやブラジルのような国々も、将来的にこの協議に加わることになるだろう」と強調した。

〔‥‥〕

 大統領はこの記者会見で、昨朝テヘランで起きたテロでイラン人核科学者の一人が殉教したことに言及し、「間違いなく、西洋諸国やシオニスト体制が関わった事件だ〔‥‥〕」と述べ、さらに「国の治安責任者らには、可及的速やかにこれら者たち〔=テロの実行犯〕を見つけ出し、国民の前にさらす義務がある」と明言した。

〔‥‥〕

自らの権利については交渉しない

 アフマディーネジャード氏はこの記者会見の続きで、イラン核問題や、イランと5+1諸国との今後の協議について、記者からの多くの質問に回答し、そのなかで「国際原子力機関(IAEA)の規定ならびに核拡散禁止条約(NPT)には、参加国の権利が明解に記されている。そうした権利の一つに、〔核〕燃料の濃縮サイクルの活用の権利、〔核〕燃料生産の権利がある。法に定められているこの権利について交渉することはできない。ただし、核分野の協力については、協議に参加する」と強調した。

 同大統領はさらに、5+1諸国に対し、「諸国民の権利を正式に認め、協力の余地のある場所に〔進んで〕足を踏み入れるべきだ。もし法に反して、利己的な関心にもとづいて行動し続けるならば、いかなる成果も生まれないだろう」と勧告した。

「IAEAの行為は違法だ」

 大統領はまた、IAEAが最近出したイランに関する報告書について、「今回の報告書は、以前のものに比べて改善し、真実に一歩近づいているものの、それでも依然として真実が完全に記載されているとはいえない」と述べた。

 大統領はその上で、次のように強調した。「IAEAのこうした報告書には多くの問題が存在するが、なかでも問題なのは、これらの報告書が我が国の核についての詳細を全て公表してしまっていることだ。これはIAEAの規約に反することである。というのも、〔IAEAの報告書に記載された内容の元となった〕こうした文書は〔もともとイランの〕機密文書だからだ」

ウィキリークスの文書には信頼性がない

 大統領は続けて、サウジアラビアやバーレーン、UAEなどの国々の一部高官らがアメリカに対してイランへの軍事攻撃を要請していたとの内容の〔米機密〕文書が、インターネットサイト「ウィキリークス」によって公開されたことについて、「公開された文書は一種のいたずらであり、法的な価値や信頼性に欠ける」と語った。

 同大統領はその上で、「地域諸国はみな、互いに友人・兄弟である。こうしたいたずらによって、国家間の関係に影響が及ぶことはないだろう」と述べた。

〔‥‥〕

イラン人専門家らによって、遠心分離機への攻撃は無力化した

 アフマディーネジャード氏はまた、イランの核活動を西洋諸国が邪魔していることについて、「妨害工作は過去に行われたことがある。その時には運良く見つかり、原因も取り除かれた」と述べた。

 同氏は、道を塞ぎ、妨害工作を阻止するべく努力してきたことについて指摘し、「彼らはソフトウェアを使って、一部の遠心分機の電子部品に問題を発生させた。実に下劣な手口だが、幸運にも我が国の専門家によって発見された」と語った。
〔※イランの核施設を標的にして開発したとも言われている、「スタックスネット」と呼ばれるウィルスのことを指すと思われる〕

 大統領はその上で、「いまや、彼ら〔=西洋諸国〕にはこうした行為〔=妨害工作〕を行うことは不可能だ。道は永久に閉ざされたのだ」と明言した。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

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( 翻訳者:井口秀太 )
( 記事ID:20907 )