コラム:入植非難決議にかんするイスラエル『ハアレツ』紙の論調
2011年02月21日付 al-Quds al-Arabi紙

■オバマよ、仮面を外してくれてありがとう
■ヘブライ語紙より

2011年02月21日『クドゥス・アラビー』

[訳注:同日付『ハアレツ』紙の社説をアラビア語訳して転載した記事です。筆者は同紙政治コラム主幹Akiva Eldar]

ノーベル平和賞受賞者オバマ大統領は、和平努力に対する破壊活動の停止をイスラエルに呼びかける決議に拒否権を行使した。それは、超大国の国内政策が外交政策に勝利したことを意味する。入植地での建設を非難することは「ピースプロセス」に抵触するという彼のみすぼらしい言い訳は、ご都合主義が倫理に勝ることを意味する。エジプトのタハリール広場でのデモが最高潮だったほんの二週間前、クリントン米国務長官は、「全ての人間が自由の下で暮らすという普遍的な権利」を合衆国が支持すると明言したはずだが。「愛国派」のオルメルト前イスラエル首相でさえ、著書の中で、入植が市民の権利や生活の質、パレスチナ運動の自由を侵害していると主張している。

しかし、もしスーザン・ライス米国連大使が、他の安全保障理事会メンバーらと共に入植政策非難決議に賛成票を投じたとしても、どうなるものでもない。ネタニヤフ首相・リーベルマン外相・バラク国防相らで構成されるイスラエル政府が、入植を凍結するであろうか?ジョージ・ミッチェル[中東和平担当]米国特使はその答えをよく知っている。10年前、同特使率いる国際委員会は、強圧的な入植政策は、その地域の住民を虐げ彼らの生活をかき乱すと断じた。ミッチェル特使と委員会メンバーは、入植を将来の交渉の切り札とするのか、あるいは、交渉開始を妨げる挑発とするのか決めるよう、イスラエル政府に呼び掛けた。ミッチェル委員会は、「自然な拡張」とされるものを含む入植地拡大の凍結をアドバイスし、政府はミッチェルレポートを採用した。その時以降、入植者人口は5万以上になった。

入植完全凍結ならびに2001年3月以降の入植拠点解体というミッチェル委員会の提案は、2003年4月カルテット[米国、ロシア、EU、国連]がイスラエル・パレスチナ両政府に提示したロードマップの第一段階に該当する(当時のシャロン政権はこの条項をロードマップ案の14の留保案件には含めなかった)。その数ヶ月後、安保理は全会一致で(安保理決議1515採択により)ブッシュ大統領決議案を支持した。ブッシュ大統領の決断とはイスラエルとパレスチナにロードマップ案の履行を求めるものであった。それ以降何がおきたか?入植地も入植拠点も成長を続けているのが現実だ。2009年6月、ネタニヤフ首相がクネセットで、イスラエル政府は無認可の入植拠点解体計画を前進させる意図があると報告したことも、ここで言及しておこう。

アメリカの主張に反し、安保理の最新の非難は和平前進の機会を縮小するものではなかった。そしてアメリカ人が行使してきた拒否権は、ネタニヤフに、本質的な問題についての立場を明らかにする機会を与えない。1967年以来国際社会、特にアメリカは、パレスチナ人にリップサービスしかしてこなかった。近年では資金援助もするようになったが、このようなことから彼らのための国ができることはないだろう。もしタハリール広場で勇敢に警官隊に立ち向かったエジプト人たちがいなかったら、エジプトの人権状況に関する重要な国務省の報告書をみていながら、アメリカは言葉遊びを続けていただろう。

ムバラクの時代が終わりを迎えたと理解したとき、「中東には機会を求める若者の世代がいる。指導者たちは、民衆の要求に対し後れを取るべきではない」とオバマ大統領は述べた。それならばきっと、彼は、ナーブルスや東エルサレムの若い世代のことも念頭にあるに違いない。43年以上、占領から解放され、自由と尊厳を得る機会を求めている人々である。

アッバース大統領は、オバマのダブルスタンダードを批判する代わりに、スーツを脱いでこぎれいな彼のオフィスから出て、ラーマッラーのアル=マナーラ広場で抗議テントの設置を人々に呼びかけるべきだ。国連がパレスチナ国家を承認するという幻想にひたるのではなく、ネタニヤフ首相が恒久的な国境線を示す地図の提示を拒否した場合には、パレスチナ政府は支援国にその門戸を閉ざしイスラエル軍事政権に鍵を渡すと宣言すべきだ。このとき、おそらくイスラエルの左派は、「世界」のダブルスタンダードを嘆くのをやめ、外国の政治家が我々を救うためにその地位を危険にさらしてくれるという幻想から目を覚ますだろう。ありがとう、オバマよ。君は仮面をとって我々に素顔をみせてくれた。我々も鏡をみるべき時だろう。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

Tweet

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


(翻訳者:松尾愛)
(記事ID:21594)