エジプト:「1月25日革命」は作家連盟から正当性を奪うのか?
2011年02月23日付 al-Hayat 紙

■エジプト:「1月25日革命」は作家連盟から正当性を奪うのか?

2011年2月23日 『アル=ハヤート』紙

【カイロ】

 若者たちが起爆剤となった「1月25日革命」の影響を受け、エジプトの作家連盟はこのところ分裂の兆しを見せている。作家連盟が出した声明および革命とその要求を支持するために組織した行進は、少なからぬ数の作家や知識人にとって充分であったとは言えないようだ。こうした人々にとって、革命に対する連盟の態度はきわめて及び腰で逃げ腰であり、事態の重要性に見合っていなかったと映る。そしてついに彼らは運営委員会および連盟議長のムハンマド・サルマーウィーに対する不信任を掲げて緊急総会の開催を求める動きに出た。

 評論家であるムスタファー・ダブウ博士は緊急総会の開催を求める声明に署名したメンバーの一人だが、革命に対する連盟の態度を作家や文人の総意を代表しておらず、作家連盟としてふさわしくないものであると見る。ダブウ氏は言う。「起爆剤となり、メンバーを行動に突き動かした三つの中心的な問題があります。なお、法的あるいは形式の上では、現在の委員会に対する信任を取り下げるための緊急総会開催を求めることは可能です。第一の問題は、連盟の革命に対する態度です。第二は運営委員会の半分を改選する選挙の実施についてです。エジプトの現在のこの状況のなかで、来る3月25日に実施されることになっています。第三は昔からたまりにたまった澱、つまり前例がないほどの財政及び運営における腐敗です。とりわけ過去数十年間、芸術の観点からは何の説明もつかないやり方で一部の人に限定されてきた外遊に関する問題です。」

 3月に行なわれることになっている選挙の期日をめぐる議論は、委員会が二カ月ほど延期し、5月に実施するという決定を行うことで終止符を打った。それは多くの作家たちが事態の鎮静化を待つ必要があるという声に応えてのことだ。連盟の規定には非常時についての項目があり、非常時とは地震、火山の爆発、革命と規定されている。そのため、法的には延期は正当なものなのだ。しかし最後の瞬間に予期せぬ形で、委員会は延期を撤回し、今度の3月に選挙を行うという新たな決定を下したのである。

 批評家、詩人であるアラー・アブドゥル・ハーディーは委員会のメンバーであるが、「明白な躓き」が起きていると見る。氏は緊急総会開催を要求するメンバーに加わることを明らかにし、こう付け加えた。「私は不信任だけで充分だとは思いません。連盟の運営を円滑にするための組織(暫定委員会)を作ることが必要です。多くの欠陥を抱えた現行の規定を改正するためには。」

 作家のホエイダ・サーレフは連盟のメンバーではないのだが、それにも関わらずフェイスブックの自らのページでサルマーウィーに対する不信任を支持している。サーレフは言う。「この連盟はメンバーでない者も含め、エジプトの作家たちを代表しています。なぜならそれはエジプト人作家すべての名において語り、その態度は私たちの意志とは関わりなく私たちすべてにかかってくるのですから。」また彼女はこうも言う。「委員会はいくつかの声明を出すだけで充分とし、革命には参加しませんでした。それが組織した唯一の行進は、単にカメラの前に姿を現すことだけが目的だったのです。」

 サーレフはこう見る。「エジプト作家連盟は脆弱で無力な組織です。独立した職業組合としての役割を果たしてはいません。幾度となくそれは文人たちを支援せず、尻込みしてきました。官僚主義に陥り、権力が交代することもなく、身びいきが横行し、会員資格が作家ではない人に与えられるに至ったのです。」

(中略)

(事務局長を務める詩人の)ハジーン・ウマルはこう見る。作家連盟のなかの財政および運営面での腐敗の主な理由は、「何十年もの間委員会に巣くってきた多くの運営委員会のメンバー」にある。そして彼はこう言い添えた。「私は1月25日革命の精神がこうしたメンバーにも届き、今度の選挙では立候補しないと自ら決意するであろうと考えていました。しかし彼らは今のところそうしてはいないし、これからも同じでしょう。彼らはかつても今も、倒された政権の一部なのですから。その手先であり、広告塔だったのですから。」

(これに対し議長の)サルマーウィーは、革命に対する連盟の態度は運営委員会の動きを総括するものであったとみなす。彼はこう言う。「一部の人間が我々を出し抜こうとしています。また自分のために英雄的な役割をでっち上げようとしている者もいるようです。革命に対する連盟の態度は明白でした。我々は革命とその要求を支持したのです。なぜならそれは正当な要求だったからです。我々は他の職業組合の前でそれを明らかにしました。」

 選挙の日程延期を取り消した先の委員会の態度に関し、サルマーウィーはこう語った。「連盟の弁護士であるラガーイー・アッティーヤに相談したところ、(根拠となっている)憲法の無効は規定の無効を意味せず、選挙の延期は規定上不可能であると言われました。なぜならばそれは無効を求める訴えに道を開くからです。それを避けるために、我々は規定に従い、期日通りに選挙を行うことを決定しました。」サルマーウィーは連盟の新しい規定に関し、「規定は多くの重要な改正がありますが、なかでも顕著なのは議長の任期を二期を超えないものと規定した点、および議長の選出を総会の直接選挙によるとした点」であると指摘した。

(本記事はAsahi中東マガジンでも紹介されています。)

Tweet

Tweet
シェア


原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:八木久美子 )
( 記事ID:21617 )