「鉄人」の殺害犯、絞首台に吊される(後編)
2011年09月22日付 Jam-e Jam 紙

死刑執行

 ポケットに入れたナイフで「イランの鉄人」を殺害し、そのために今や絞首台の前に立とうとしている若者への刑執行の様子を間近で目撃しようと、刑執行の数時間前から、数千人の群集が執行現場に集まっていた。

 刑執行現場に集まった人々の喧騒が止むことは、一瞬たりともなかった。黒色のプライド車に続き、大型の警察車両、そして〔メルセデス社製の〕エレガンス車が現場に到着し、厳重な警備の下、アリーレザー死刑囚は大型の警察車両から降りてきた。

 黒色のマスクをした男性2名が〔絞首刑に用いられる〕クレーンに近づき、処刑用のロープがしっかりとしたものであるかどうかを確認した。

 コーランの朗唱が行われた後、死刑囚は台の上に昇った。彼は明らかに震え、ずっと泣いていた。彼は2度、台の上で足を滑らせ、転んだ。判決が読み上げられ、数分後に台が外さた。クレーンが下降し、少し間を置いて、上昇した。そして刺殺犯は、ついに息絶えた。

「ダーダーシーの遺族が彼を赦していたら」

 処刑の後、現場に居合わせていた人物の一人が、本紙記者にこうつぶやいた。「私は昨日、ルーホッラー・ダーダーシー殺害犯への刑執行が行われると聞いて、キャラジにやってきました。私自身、スポーツ選手で、殺害されたダーダーシーのファンでした。彼のヒーロー然とした態度は誰もが認めるもので、彼の死に私はとても悔しい思いをしていました。イランで最も強い男ルーホッラーはイランの全家庭のものであり、そうあり続けるでしょう」。

 この人物はさらに、次のように続けた。「刑執行に立ち会ったすべての人々と同様に、私も犯人の一刻も早い処刑を望んでいました。しかし、殺人犯の若者の泣き叫ぶ様子を見て、嫌な気分になりました。『ダーダーシーの遺族が兄弟ルーホッラーの凛々しき姿に免じて、この若者を許し、彼に生きるチャンスをもう一度与えてくれたら』と祈りました」。

 処刑を目撃したこの人物はさらに、「アリーレザー(死刑囚)が処刑された時、私は嫌な気分になり、泣いてしまいました。二つの遺族を容易に悲しみへと突き落とすようなこうした不快な事件を、私たちが二度と目撃することのないことを望むばかりです」と付け加えた。

 処刑現場にいたもう一人別の人物は、次のように述べた。「私は夫と、まだ若い2人の子どもと一緒に、刑の執行を見るために朝3時からこの場所にいます。ルーホッラーは私たちの近所の人でした。彼のことは、何年も前から知っています。優しく凛々しい若者でした。彼の死を知り、自分の息子が死んだような気分になりました」。

 この中年女性はさらに、次のように続けた。「殺人犯が逮捕されて以来、いつ刑が執行されるのかと指折り数えてきました。殺人犯が処刑されて、私はとても嬉しくなりました。神の罰が実際に執行されたのですから。ダーダーシーの遺族だけでなく、あらゆる人が殺害犯の処刑に、安らかな心持ちになったと思いますよ」。

 この女性はその上で、「もしこの若者がナイフなんて携帯していなかったら、今も命をつないでいたかもしれません。ルーホッラーもまだ生きていたでしょうし、家族のそばにとどまっていたはずです」と語った。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:24142 )