シリア:アラブ連盟監視団についての論評
2011年12月28日付 al-Hayat 紙

■アラブ連盟提案の諸目標への脅威

2011年12月28日『アル=ハヤート』

【アブドゥッラー・イスカンダル】

アラブ連盟閣僚評議会がシリアへの監視団の派遣を決定した。この派遣は、悪化した治安状況を沈静化させるために、また危機解決のための話し合いをするに先立って、シリアの社会環境を整える準備をするために、政治的提案という枠組みにおいて実施された。それと同時に、平和的に反体制デモを行う権利の保護も目指された。

しかしながら、アラブ連盟がシリア当局と行い、また監視団に関する議定書の調印まで漕ぎ着けた諸々の交渉によって、今回の政治的提案が目指していた沈静化と対話という目的が逸らされてしまった。政治的提案の目的は、監視団の活動の性質に関わる技術的な詳細へと逸れてしまったのだ。監視団の行動の最初の数日、監視団がアラブ連盟提案の適用を監視し、その目的に至ることができるという朗報は伝わってこない。

そこには、アラブ連盟の提案の目的を脅かしうる二つの大きな逸脱が存在する。一つ目は、監視団の活動が、暴力行為などの調査委員会のそれへと変わってしまったことにある。すなわち、この爆破事件などの意味を取り扱う問題というトンネルの中へ、監視団を引き込んでいる。このことは、ダマスカスの情報機関2カ所に対して起きた爆破事件後、シリア当局が目指していたことである。また反体制側の一部も、同事件における犠牲者が治安部隊の手で死亡したのではないかと調査を求めていた。

二つ目の逸脱は、監視団が証人の立場に変化しているということで、体制側と反体制側の両者が、監視団を自らの言い分を確証するための証人にしようとしている。それどころか、シリアの責任者や報道官、コメンテーターの多くは、監視団は彼ら自身で治安部隊や民間人に発砲する「武装ギャング」を見ることになるだろうと公言した。同様に、反体制派の諸委員会や調整委員会の報道官役の多くは、監視団に対し治安部隊が自分たちの住む地区に包囲された民間人に対して、戦車や大砲による砲火を浴びせているのを見るよう呼びかけている。

(後略)

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( 翻訳者:丸橋遼太 )
( 記事ID:24993 )