謎の発光体騒動の波紋:国防相、軍事的脅威との噂を否定
2012年06月11日付 Iran 紙
6月9日付ファルハンゲ・アーシュティー紙1面に掲載されていたものを転載
6月9日付ファルハンゲ・アーシュティー紙1面に掲載されていたものを転載

【政治部】国内の一部の都市の上空で目撃された発光体が、多くの疑問や憶測、反応、そして時に相矛盾する情報を、国内さらには地域全体で引き起こしたが、国防相の発言によってこれに関する不安や疑惑は一定程度払拭されたようだ。

 先週木曜日〔6月7日〕の夜、テヘランやタブリーズ、ハマダーン、アルダビール、キャラジ、タバス、ケルマーンシャー、シャーフルード、マシュハド、ボルージェルド、マハーバード等の都市で、何らかの発光体が目撃された。この物体は上空を移動中、円盤状の雲のような煙を残し、数分後には空から消えてしまった。また、複数の国際的な通信社も、この物体がアゼルバイジャンやシリア、アルメニア、レバノン、カザフスタン、キプロス、ヨルダン、占領地パレスチナなどの域内の国々からも目撃されたと報じた。この話題はここ数日間、国内外のニュースサイトや通信社にとって、大いなるネタを提供してきた。

 国内では当日の夜や事件発生の翌日、この事件は国防軍事演習「ファジルの日の出」と関係があるのではないか、との憶測が飛び交った。しかし、このことは土曜日、「イラン」紙のインタビューに応じたイランの軍高官によって否定された。

 パッシブディフェンス機構は「木曜日の夜、イラン国防部隊の〔戦闘への〕準備態勢を評価するために、《ファジルの日の出》と名付けられた広域演習が行われ、この上ない成功を収めた」ことを発表した。しかし同機構は昨日声明を発表し、軍事演習「ファジルの日の出」と発光体はいかなる関係もないと否定した。

 その一方で、軍のとある情報筋はファールス通信とのインタビューの中で、「われわれの得た軍事情報によれば、アフガニスタン東部から占領地〔パレスチナ〕へと移動していったこの発光体が目撃される10日前、アメリカは巨大輸送機を使って、アフガニスタンにある設備を輸送したが、この設備はアメリカにとってアフガニスタン問題でほとんど何の役にも立たない代物だった」と指摘した。

 この人物はさらに、「もちろん、このことは機微に触れる問題であるため、アメリカがなぜそのような輸送を行ったのか、その理由は一切メディアでは報道されていない」と述べている。

ロシアによるミサイルテスト

 こうした中、ロシア軍当局による発表が、更なる憶測を生みだしている。ロシア国防省のミサイル戦略部隊情報保持部のヴァディム・コヴァル部長は「一部の中東諸国やロシアの上空で発光体が目撃されたことは、ロシアの大陸弾道ミサイル《トポル》の発射実験が成功した結果である」と述べている。

天文学者の見解

 この件に関して、イラン天文学協会のアマチュア委員会の執行担当書記を務めるアサドッラー・ガマリーネジャード氏は、「この発光体の正体は、おそらくミサイル燃料の燃焼によるものだろう。ミサイル燃料が宇宙空間で漏れ出し、大気圏に入ってくると、燃焼して円錐形の発光体に見えることがある」と指摘している。

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発光体の出現は脅威ではない

 他方、国防相のアフマド・ヴァヒーディー准将はさまざまな憶測に対して、軍事・国防上の観点から見解を示している。ヴァヒーディー司令官は、発光体の出現はイランにとって脅威とはまったく考えられないと指摘した上で、「事件の詳細を明らかにするために、この事件は様々な側面から調査中である」と述べた。

 国防相はさらに、「上空における発光体の出現はイランに特有のことではなく、さまざまな国で目撃されていることであり、イランにとって脅威とはまったく考えられない」とも指摘した。

 その上で、同氏は「詳細を明らかにするため、この事件は様々な側面から調査中であるが、イランが国防上、問題を抱えているということを示すものではないということだけは、安心していただきたい」と続けた。

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( 翻訳者:8410068 )
( 記事ID:26812 )