シリア情勢:彼のみが解決策を知っている
2012年06月30日付 al-Hayat 紙

彼のみが解決策を知っている

2012年6月30日

【フサーム・アイターニー】

バッシャール・アル=アサド大統領をおいて他に、シリアの諸問題の解決の仕方を知る者は一人もいない。彼は《非シリア的で、かつ非愛国的な》あらゆる解決策を拒絶している。
テレビインタビューで述べられた彼の言葉は、《シリア指導部の下での政治的過程を通じた解決策》へ至るためのあらゆる取り決め、に対抗する先手を打った努力であるかのように見える。それらの取り決めとは、国際連合とアラブ連盟の特使クーフィー・アナンの提案を検討するため、ジュネーブに集まった国際的諸勢力の間でなされるような取り決めのことを指す。アナンの考え方は、過去数週間における情勢の進展に対して大きく遅れを取っており、またシリア諸勢力の均衡バランスにおいて、反体制の革命に有利となるような、ゆっくりではあるが確固とした変革があることを無視している。重要なのは、アル=アサドが多様な様相を持つ現実から、深刻な孤立状態にあるということだ。ロシアの役割が、これらの様相の内のひとつを代表している。つまりロシアはここ数日の間、ダマスカスの政権の利益となるように、外交と報道における闘いを切り盛りしている。しかしながらロシア人は、アサド体制と同様に、革命の内面的諸要因を軽視し、アル=アサドと、シリア指導者たちの船室にいる彼に匹敵するような人物たちを、保護する能力があると考えている。もっとも、彼らロシア人はシリア情勢について大変詳しいと思われているのだが。現実における第二の様相は、シリアの戦略地政学的位置に関する闘争と、シリアを舞台に行われている小冷戦という二つの事柄が、瑣末な事項に留まっているということである。というのは、体制の崩壊と、体制の大部分がその行政的、経済的、教育的、または生活に関わる機能を停止しているという事実を、我々が問い詰めているからだ。またシリア国防軍によるトルコ機の撃墜は、その行為が体制崩壊の道のりへの転換点だと認識せざるを得ない。たとえ、その背景事情が誇張されたり、あるいはトルコ側の反応の混乱をあざ笑ったりしようとも、である。
《シリア的で愛国的な》解決策については、アル=アサドはそのことを明確に述べることはせず、その具体化は視聴者に任せた。実際のところ、解決策の明確化は困難な任務ではない。同じインタビューの中でシリアの大統領は自らの言葉を以下のことに要約した。すなわち、《テロリスト》との戦いについてと、前日に新内閣の前で話された《真の戦争》について、である。真の戦争とは、シリアに対してしかけられ、また勝つためには複数の要素の充足が必要とされる戦争のことだ。これはつまり、ダルアーの治安警察の高官が、町の壁に反アサドの文句を書いた学童たちに対し、彼らの爪を剥がすという決定を下したとき以来、体制が定めたことのなかった《解決策》である。ダルアーとその子供たちから、ドゥーマーとそこでの虐殺に至るまで、回を重ねるごとに理知的な人間にとって確かとなった唯一の道は、体制自身が自ら陥れた危機からの政治的出口を考え出すのは不可能だという道なのだ。また、シリアにおける一日当たりの死者数が百人を超えているにも関わらず、アル=アサドは未だにテロリストの根絶に固執している。シリア全土の至るところで、彼はテロリストを見つけるのだが、一方で、自称改革の道具として認識される、新政権へ参画させるための人間については、衰退した党の中から二人の人間しか見つけない。
しかし、以下のことについて理解するのは難しい任務である。すなわち、自国の社会にとって有害な戦争を起こし、また価値観やシリアの構成要素の間の関係、シリアのアラブ的、国際的地位のレベルにおいて自国の破壊に貢献した、アル=アサド大統領が国を率いる彼の能力について考えていることを理解することである。そしてもっと困難な任務は、体制の戦争が後ろに残してきた荒廃を修復することだ。その荒廃は諸都市や村々、精神にまで及び、他者への嫌悪感や、将来と運命に対する不安を人々の精神に負わせた。
アル=アサドがテレビインタビューで話したことは、アラブ革命以前の時代に起因している。そこでは権力が社会を恣意的に操作しており、また公正や自由、尊厳を求める国民の明確な希望や期待への尊重や考慮は全くなかった。このような振る舞いに殺到することは、近づいてくる崩壊への恐怖を表明するに他ならない。これは、アル=アサド政権(と近隣諸国の同政権支持者達)が、現下の不幸に何ら理知的な見解を示さない中でのことである。これらの者たちは、時に阻止と抵抗というスローガンによって、またある時は「テロ対策とテロリストの殺害」という言葉によって、宗派的な膿しか排出しないだろう。

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( 翻訳者:丸橋遼太 )
( 記事ID:26886 )