イランでのアナン、幻想を背後に
2012年07月11日付 al-Hayat 紙

イランでのアナン、幻想を背後に

2012年7月11日『アル=ハヤート』

【ランダ・タキー・アッ=ディーン】

コフィー・アナンのイランの任務は、幻想の背後にある。イランの任務は不可能である。彼は偽りの約束を持って帰還するであろうが、しかし彼は試みるかもしれない。アナンはイランがシリアへ圧力をかけるカードであると信じている。しかし、その可能性が正しいにしても、イランはコフィー・アナンにこのカードをただでは与えないはずだ。どうしてアナンなどに与えるものか?イラン政権はその代償を求めている。そしてそれはコフィー・アナンの自由にはならない。イランの代償とは、石油、財政、経済封鎖を解くことで、これはコフィー・アナンの自由裁量ではありえない。イランは核兵器停止の必要性に関して交渉を行う6カ国に対して、イランがシリア危機解決に関しての話し合いを行いたいと継続的に述べることに努めて来た。

これら6カ国はこのイランの策略を拒否した。同様に、レバノンの政治的状況が停滞した際、常にフランスにレバノンの閉塞した状況解決に協力するように申し出てきた。しかし、フランスは、イランが地域の安定を撹乱することに加担し、そのカードをやり取りすることから、それを継続的に拒否してきた。イランは、まだ「ヒスブッラー」と共用のレバノンでの重要なカードを有している。そしてこれは、ロシアがシリア政権を、弾圧と戦闘の武器や装備で支援するのと同じようなものなのである。であるから、コフィー・アナンは、いかにイラン政権がシリア政権を、反体制派を含む政府機関へと移行することを受け入れるよう説得することに同意すると想像したのか?そしてその政府のメンバーは、バッシャール・アル=アサドを権力の座から下ろすことを含む選択の権利を持つ野党になるのである。

イエメンの状況はシリアの状況とは違う。アリー・アブドゥッラー・アル=サーリフの部族は彼を見捨てた。一方、バッシャール・アル=アサドはアナンを受け入れながら、彼の部隊は戦闘と弾圧と拷問をすべての装備をもって続ける。ロシアは、その利益がシリア国民の側にあるべきであっても、退陣の運命にある政権にではなく、自身の利益にしがみついている。国民やその子どもの半分を粛清し、圧力をかければかけるだけ力と戦いを増強し行使する大統領が存続するのは不可能である。

約15000人の死者を出し、日々野獣の如き弾圧と拷問でその数が増える中、アル=アサドの存続は不可能である。彼の退陣可能性への悲観論者は、レバノンの内戦は十年以上続いたと言う。しかし、国際情勢は現在のようではなかった。当時、イスラエルとシリアの、ヤースィル・アラファートを除外し、レバノンをシリアに受け渡すという、国際的に各方面から合意された計画があった。そして、今、ロシアは過去のような巨大なパワーではなく、弱体化しているが不具なる拒否権において強いのである。そしてその力を、興隆しつつある国々、中国や、インド、南アフリカ、その他に見せ付けたいのである。しかしながら、シリアの状況では、特に、政権が戦闘に支払う財政面の欠如をきたした場合、死者の増加により、国内の均衡が崩れるであろう。イランの財政状況では、シリア政権に対して財政的な援助は難しく、特に石油の封鎖や、その石油の購入における財政手続きの困難は、イランの収入を大きく収縮させている。
一方、ロシアは、今の姿勢を保った場合、将来のシリアにどのようなことを言えるのだろうか?非常に多くの西側の官僚らは、ロシアの姿勢の一部の変化を感じ始め、それは楽観的な考えの一端かもしれない。今、安保理の決議案に関する議論に関して、三国、すなわち、フランス、イギリス、アメリカの間の事柄をめぐり協議を始め、昨日フランス大統領フランソワ・オランドと、イギリス首相ディビッド・キャメロンが第7章のもと、アナンの6項目の提案を設定する対応を行っている。この第7章は、もし決議が履行されなかった場合、制裁の増強あるいは武力行使も想定するものである。フランスとアメリカ、イギリスは、制裁のみで、武力行使は望んでいない。制裁の圧力は、勿論、停戦とアル=アサドの退陣を実現するために、より長く、より困難なものとなる。アル=アサドがいつ退陣するかを予言するのは難しい。しかし、すでに起こってしまった全ての殺戮、弾圧、拷問のあと、アル=アサドが残り、半数以上が彼の退陣を要求している国際社会に復帰することを想像するのもまた、非常に難しいことである。

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( 翻訳者:山﨑やよい )
( 記事ID:26988 )