リビア:治安機関幹部の暗殺が相次ぐ
2012年11月24日付 al-Hayat 紙

■リビア:止まらない暗殺事件、治安機関建設を阻む「組織的計画」への恐怖を煽る

2012年11月24日『アル=ハヤート』

【トリポリ:本紙】

去る火曜日(20日)夜に、ベンガジ治安当局長官のファルジュ・アッ=ダルスィー大佐が何者かに暗殺された事件は、未だにリビア社会のあちこちで大きな議論を巻き起こしている。リビアでは、2011年8月にムアンマル・アル=カッザーフィー政権放逐以来治安の空白が生じ、数十名の命が失われた。

ベンガジで起こった最近の暗殺事件を背景とし、警察や軍の幹部、政治エリートや文化人の間で、「疑わしい沈黙」、「表面的捜査」への疑問が惹起された。「疑わしい沈黙」、或いは「表面的捜査」は、ベンガジで軍と警察の幹部に対する暗殺事件の度に繰り返されてきた。この数カ月で軍・警察将校に対する多くの暗殺事件が発生しているにも関わらず、司法当局は未だ暗殺の犯人について説明していない。そして、依然として諸般の暗殺の実行犯たちは身元を特定されずに野放しとなっている。

諸方面からは、背後に政治勢力がいる警察と軍幹部抹殺のための「組織的計画」への懸念を表明している。計画の目的は、治安の確立、安定の強化、国家の支配権の施行の権限を持つ軍と警察という2組織の活性化を阻むことである。

前政権からの「リビア解放」戦争中にアブドゥルファッターフ・ユーニス司令官が暗殺された事件は、1年以上が経過し、当時は過激派集団の犯行以上の(背景がある)事件だと盛んに言われたが、依然として司法府に提起されたままである。ここ数ヶ月の軍や警察幹部を狙った一連の暗殺事件は、犯人も逮捕されていない。そのため、(暗殺の背後に)密かに実行され、国内で勢力を持つある政治勢力が後援する計画があるのではないかとの懸念と疑問が引き起こされた。この計画は、軍・警察の幹部を始末して両組織を解体し、特定の党派への忠誠心を持つ軍事・治安組織を軍・警察に取って代わらせる計画である。

先日のアッ=ダルスィー大佐暗殺とそれに先立つ複数の事件を受けて、政治エリートや軍、治安機関幹部たちは現在までリビアの軍、治安機関の活性化を遅らせている理由を詮索している。軍、治安機関の活性化は、前政権の放逐・前政権高官の殺害・逮捕・国外逃亡から1年以上たったにもかかわらず、実現していない。また、リビア軍や治安機関の要員と将校多くは給料をもらっているにも関わらず仕事に行かない状態にあり、その一方で新しい軍事部隊や治安機関が、要員と幹部を狭い政治的基盤に則って選抜して編成されている。そそれどころか、完全に部族的・地域的基盤に基づく革命家たちによる軍事部隊も存在し、これら部隊の軍機構への統合は、あらゆる国での軍の創設に関する諸規範による編成上の改変抜きで行われている。このような形での諸部隊のリビア軍への統合決定は、職業軍人将校界隈で広汎な批判を引き起こした。彼らは、このような統合決定を愛国的な信条と両立不能と考えている。愛国的信条とは、これを基礎に新生リビア軍が創設されると想定されている信条である。

現場では、アッ=ダルスィー大佐の暗殺はリビア東部を中心に激しい怒りの波を引き起こした。リビア東部では、暗殺作戦の大半が発生した。ベンガジや他の都市では、暗殺の連鎖を終わらせ、暗殺犯とその黒幕全てを逮捕し、彼らを裁きにかけるよう求めるデモが行われた。同様に、市民社会諸団体や諸般の人権団体も今回の暗殺を非難してその動機と結果を無視することに警鐘を鳴らした。リビア人権監視団はアッ=ダルスィー大佐暗殺について声明を発表、暗殺犯が逮捕されていないことは「国内に同情と疑念を引き起こすことである」と述べた。また、同監視団は、担当機関を一連の暗殺の実行犯追跡における職務怠慢であると非難、「アッ=ダルスィー大佐の暗殺と、軍・警察幹部を殺害した革命と自由の敵どもが常用している犯罪的手段により、我々は諸般の暗殺の背後には軍と警察を建設しようと努める高貴な人々を阻もうとする者がいると確信している」と述べた。

(後略)

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( 翻訳者:石塚慎平 )
( 記事ID:28333 )