『静かなるドン』ペルシア語訳、また増刷
2012年12月19日付 Hamshahri 紙


ロシア小説の古典『静かなるドン』(ミハイル・ショーロホフ原作、1925~1940年)がまた増刷された。詩人アフマド・シャームルー(2000年没)による訳で、今回が第5版となる。

ハムシャフリー・オンラインによれば、全2000ページにも及ぶ同翻訳は、シャームルー死去から数年後に刊行され、独自の翻訳文体により、大きな注目を集めた。

シャームルーは晩年の7年間を、同作品の翻訳に費やした。専門家らによれば、同書は、シャームルーが民俗文化辞典『路地の書』(注1)として編纂し集成したもの(慣用句や諺、習俗、メタファーなど)を、実際の翻訳で用いた実践的な試みであるという。同書の訳文は、何千というペルシア語の諺や慣用句によって織りなされている。読者は、同作品をイラン人独自の感性や精神文化をもって読むことができ、登場人物らはロシアの名を持ちながらも、イランの市井に生きているかのごとく感じられるのである。

マーゼヤール出版は、シャームルー訳『静かなるドン』初版を、2000年代初めに刊行したが、当時は印刷紙が安価だったため、同書全2巻本が(中略)18万リヤールだった。現在では、紙の価格高騰のため、再版であるにも拘わらず、同全2巻が65万リヤール(約2,200円)まで値上がりした。それでも、新刊本に比べれば安く、2000ぺージのハード・カヴァーで、カラーの挿絵30枚余りを用いていることを考えれば決して高くはない。

なお、シャームルー訳以前には、ベフ・アーズィーン(小説家、2006年没)による訳が1960年代にニ―ル出版から刊行されており、こちらの方も、イランの翻訳文学史に残る良訳である。(後略)

(注1)民俗文化辞典『路地の書』は、現時点で、全15巻までが刊行されている。第1巻の初版刊行は1978/9年。編纂は1965/6年に開始され、現在も継続中である。

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( 翻訳者:8400001 )
( 記事ID:28702 )