井伏鱒二『黒い雨』、ペルシア語訳が刊行
2013年11月01日付 Hamshahri 紙


【ハムシャフリー・オンライン】日本の小説家である井伏鱒二の小説『黒い雨』が、ゴドラトッラー・ザーケリー氏の翻訳によって出版された。この小説は、広島の原爆による出来事がテーマとなっている。

イラン書籍通信(IBNA)によると、小説『黒い雨』は、広島の原爆投下当時の歴史資料に基づいて書かれている。日本の読売新聞はこの作品を、「広島での悲劇について文学作品として結晶化した、もっとも透徹した、かつ深淵なイメージ」であると評している。

原爆の放射能による病と人々の苦しみは、日本の現代小説家である井伏鱒二の主たる苦悩でもある。この小説はある日本の雑誌で1965年にはじまった連載小説として掲載された 。

井伏鱒二は日本の小説家で、1898年に生まれ、95歳で亡くなった。ザーケリー氏は小説『黒い雨』を日本語から直接翻訳している。

この本の一部では次のように言及されている。

広島の原爆投下ののち、ある共通の願いが日本だけでなく全世界で形成された。それは、「もう二度とこのような悲劇を世界のいかなる場所でも起こしてはならない」というものであった。大江健三郎は、この願いを『黒い雨』の主人公の祈りととらえ、かの演説で、こう述べた。

「『黒い雨』は、文学的側面からも真に卓越したものである 。しかし、それは文学を超えて、日本の人々の悲願を体現したものとなっている。のみならず、これは日本人だけの願いではなく、全世界に通じる祈りである。」

[同書の翻訳者である]ザーケリー氏がこのほかに翻訳したものとして、村上春樹の『東京奇譚集』、鴨長明の『方丈記』などがある。

井伏鱒二の書いた小説『黒い雨』は、ゴドラトッラー・ザーケリー氏の翻訳により、356ページ17000トマン(自由レートで約560円)で、ギーサー出版から刊行された。

本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:5213003 )
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