コラム:サウジアラビアからみた米国の立場
2014年03月30日付 al-Hayat 紙


■米国の立ち場に変化なし

【ハーリド・ダヒール】

昨年(2013年)11月以降、二つの問題を巡るサウジアラビア‐アメリカ両国間の見解の相違が浮上した。すなわち、オバマ大統領の米国政権がシリア革命を放棄し、イランの核開発計画について達成が待たれる最終合意に基づき、同国との政治的合意に到達する方向へ傾いたことである。サウジアラビアと諸外国は、これら二つの問題に対する米大統領の姿勢に驚いた。しかし、父ジョージ・ブッシュ元大統領の時代とオバマ大統領の二期目において国防長官を務めたロバート・ゲーツ元国防長官によれば、(このような米国の姿勢に関して)なんら驚くようなことはないという。今年1月に刊行された彼の手記において、ゲーツ氏はこのように述べている。「カーター政権(1976‐1980年)以来、いずれの(米国)大統領もイランとの関係改善を求めて何らかの手段で同国政府の指導部に向けて手を差し出そうとしてきた。しかし、彼らの誰一人としてイラン政府からの明確なレスポンスを得ることはできなかった(178ページ)」。ゲーツ氏は、1979年10月(イラン革命から8カ月後)に、当時のカーター大統領の国家安全保障顧問であったズビグネフ・ブレジンスキー氏とともに、自身がアルジェリアの首都(アルジェ)にて、イランと米国の革命後初の会議に参加したことについても述べている。

つまり、オバマ現大統領がイランに対して執る政治路線は、米国の従来通りの戦略の一環であるというわけである。同様に、この問題を巡ってオバマ大統領が米国内で直面している意見の食い違いとは、詳細部分や実施方法に関する意見の相違であって、根本的な考えそのものに関わるものではないということが意味される。そしてオバマ大統領自身、昨年9月の国連でのスピーチで、自身の政権の対中東政策は、3つの事案について関心を置いていると述べた。すなわち、「イランの人々との合意への到達のための交渉、イスラエル人とパレスチナ人が和平に到達するための仲介、そしてシリアでの紛争の犠牲を減らすこと」の3つである。これら3点を除けば、いずれの事案の重要性も極めて微々たるものであるということだ。

ここで皆がふと疑問に思う、オバマ大統領が先週金曜日(3月28日)に行ったリヤード訪問の後、アメリカの立場は変わったのだろうか?イランにとってアメリカの立場は変わっていないが、シリアの件に関しては変化の片鱗が見えた。しかし、その変化がどこまでのものなのかは明白でなく、変化自体未だはっきりと表れていない。アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ国王とオバマ大統領が金曜の夜、ラウダト・ハリームで行った会合についての報告において、「ニューヨーク・タイムズ」紙は米国政権の政府高官が米国人記者に向けていった言葉に基づき、以下のように報じた。「シリア反体制派の中の過激派戦闘員の動きが顕著になっている中において、同じ反体制派内の穏健派を支援・強化する必要性が確認されつつある」。同紙によると、さらに同高官は「われわれはわれわれのパートナーそして同盟国とともに計画と調整の改善を行う」と述べた。これはつまり、米国政権がついにサウジアラビアと歩調を合わせることを示す米国の応答を示唆するものである。すなわち、過激派との戦いへの突入、そして中東地域の穏健派への支援が示唆されている。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:33362 )