コラム:「アフガン・アラブ」の次は「ヨーロッパのダーイシスト」
2014年06月10日付 al-Hayat 紙

■「アフガン・アラブ」の次は「ヨーロッパのダーイシスト」

【イルヤース・ハルフーシュ】

「ターリバーン」運動と協力してパキスタンとの国境地域の大半を支配下に置いていたアフガニスタンの「アル=カーイダ」が崩壊して以来、今日のシリア・イラク間の国境地帯にまたがる「イラク・シャーム・イスラーム国」(ダーイシュ)ほど、地理的な領域を手中に収めて活動を行う過激主義的なイスラーム系組織は存在しなかった。ダーイシュは両国における複数の主要な県・都市、例えばシリアのハサカやデリゾール、イラクのラマーディー、サーマッラー、モースルを半ば支配下に置くに至った。ここ数日の展開を見ていると、ダーイシュがそれらの地域において自由に、それによる影響を恐れることなく活動できていることが分かる。

「アル=カーイダ」が治安・戦略上の観点から見た周辺地域と国際社会にとっての不安の種をまいたように、「ダーイシュ」も近隣諸国や世界にとっての(不安の)種馬となった。収入を得て、生活を向上させるため、家族とともに西洋諸国に移住したと考えられていた数千名の戦闘員が、「ダーイシュ」に加わって「ジハード」を行うために安全な西洋諸国を後にしている。当時、「アフガン・アラブ」と呼ばれた戦闘員らが「ジハード」を継続するために一度は離れたアラブ諸国や西洋諸国に帰還することへの恐怖が広がったように、今日の西洋のメディアも(同様の恐怖に)身を縮めている。治安責任者らも同様に、「ダーイシュ」に加わって戦闘を行っている者がイギリス、フランス、ドイツに帰還することの危険を警告しており、彼らが各国の治安を脅かす行動をとりうることへの懸念を募らせている。その場合、彼らを「ヨーロッパのダーイシスト」と名付けてもいいかもしれない。

アフガニスタンの国家と統治機構が崩壊したことで「ターリバーン」運動は活気づき、「アル=カーイダ」は容易にアフガニスタン情勢、また国際情勢を支配することができた。そして今日、シリアとイラク両国の国家と統治機構が崩壊していることは、アブー・バクル・バグダーディーに代表されるような過激イスラーム思想の再活性化に寄与している。バグダーディーは、ウサーマ・ビン・ラーディンの後継者であるアイマン・ザワーヒリーが反対するほどの過激主義に陥った。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:34248 )