コラム:対シリア政策における米国の矛盾
2014年11月20日付 al-Quds al-Arabi 紙


■さらなる死:アラブにオバマの賞!

【社説】

アメリカの複数の高官は、ここ2週間の間に、シリアにおける米政府の外交政策に関して、矛盾する内容の複数の声明を出した。これは、いわゆる「国際有志連合」がイラクだけでなくシリアにおいても「イスラーム国」を標的とする決定をしたことについてである。アラブ諸国・地域各国が、「イスラーム国」を標的とするだけではシリア政権を利することになる、と抗議したことを受け、バラク・オバマ米大統領は注目すべき声明を出した。バッシャール・アサドの「排除」は「ダーイシュ(イスラーム国)打倒につながる」というものである。これを受け、アナリストらはオバマが現行の対シリア戦略を変えようとしているとみなしている。同大統領の対シリア戦略は、以前からこの問題の当事者による大きな批判を浴びてきた。

しかし、米政府はその後すぐに、対シリア戦略を変更していないと述べた。そして2日前には、ジョン・ケリー国務長官が現地で起こっていることについて伝える声明を出し、「ダーイシュ」に対する空爆は「シリアのトップに居座る独裁者バッシャール・アサドの利益とはならない」と述べた。同長官はさらに、米国が依拠し、世界やアラブ諸国に誓った「仮の」現実を重ねて強調し、「テロリストやアサドを排除した、穏健派という新たな選択肢」の存在について述べた。

これに対し、同僚であるチャック・ヘーゲル米国防長官は、米国のテレビ番組の中で、アサド政権は「ダーイシュ」との戦いのために結成された国際有志連合により間接的に利益を得ていると述べた。そして「アサドをどのようにして権力の座から引き降ろすかという問題には重要な意義をもたらす」と強調した。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:前田悠作 )
( 記事ID:35942 )