イランにおける尊属殺人の実態(5)
2015年02月04日付 Jam-e Jam 紙

 覚醒剤を使用して精神錯乱を起こした者は、最初に自分の家族に対して強い被害妄想を抱く。配偶者のある者に関して言えば、その人物が最初に疑惑と被害妄想を抱くのは、その者の配偶者である。配偶者に対して抱くそうした妄想のなかでも最も一般的なのは、配偶者が裏切りを働いているという空想だ。

 覚醒剤を使用した者はつねに、家の中に誰かがいる、配偶者はそのことを自分に隠している、と考える。こうしたことが理由となって、その人物は殺人などの重大犯罪に手を染めてしまう。しかしそこには、しっかりとした根拠など存在しないのである。

 覚醒剤を使用して精神錯乱を起こした者は、殺人を犯してから3日から1週間後、自らの犯した罪を理解し、それに引き続く形で、激しい鬱や絶望感に襲われる。自分のしたことを知って、自殺を図る者もいる。

 覚醒剤を使用した者は現実分裂に襲われ、凶暴な行動を示す。この薬物は互いにバランスを取って機能しなければならない脳内の3種類の重要な化学システムに影響を与え、その結果、人は周囲の環境を正しく理解できなくなり、粗暴で信じられないような行動に及ぶ。

 独身者については、父母や兄弟姉妹が覚醒剤使用者の妄想の影響で殺害されるか、その他の被害に遭う可能性のある最初の人物となる。また、覚醒剤使用者が自宅の外で、〔麻薬を使用しながら〕近しい友人と長時間にわたって付き合っていたりすると、その人物も危険に晒される。

 子殺しでは、殺害犯は人形かロボットと相対しているかのように考え、子供に危害を加えているということに気がつかないものである。統計によれば、配偶者殺害の方が子殺しよりも多い。麻薬の使用は男性により大きな広がりを見せているため、男性が重大犯罪を犯すことが女性よりも多い。

 人はときに、大人になって鬱状態から解放されるために、あるいは肉体労働に従事するための力を手に入れるために、覚醒剤に手を伸ばすことがある。しかしこの薬物が彼らにもたらす影響は、きわめて危険で、困難を生じさせるものである。例えば、50歳になるある男性は、覚醒剤を使用したことで自分の妻に不審を抱き、そのために妻や家族に様々な問題を引き起こしてしまった。

 凶器について指摘しておかねばならないのは、ナイフのようなモノを切るための道具が、多くの尊属殺人で殺害道具となっているということである。尊属殺人では、手に届きやすいナイフやモノを切るための道具が使われ、〔殺人のために〕ナイフをどこかから〔前もって〕調達するといったことはあまりない。もちろん、犯罪の動機が事前に存在するならば、話は別だ。

 また、殺害犯が被害者を窒息させて殺したり、毒をもって殺害するといったケースもないわけではない。しかし多くの場合、殺人は突発的に起こるため、すぐに手に入り、扱いも簡単な道具が用いられるのである。

つづく


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( 翻訳者:ノリメタンゲレ )
( 記事ID:36918 )