アル=カーイダ元メンバーの英諜報員「ザワーヒリー氏はアル=カーイダを近く解散するだろう」と暴露
2015年04月03日付 al-Hayat 紙
アイマン・ザワーヒリー
アイマン・ザワーヒリー

■ザワーヒリー氏、アル=カーイダ解散の方向へ

【ロンドン:カミール・タウィール】

アル=カーイダ指導者のアイマン・ザワーヒリー氏が、世界各地で活動するアル=カーイダの支部組織に対して、「忠誠(バイア)を解く」と告知しようとしているとの情報が昨日流れ、これらの組織と地元の組織との統合や、アブー・バクル・バグダーディー氏率いるダーイシュ(イスラーム国)への加入の可能性が高まっている。ザワーヒリー氏がこうした措置を実際に行えば、ウサーマ・ビン・ラーディン氏が1987年にアフガニスタンで結成し、数年のうちに米国とその西側同盟国、さらにはアラブ諸国に未曾有のテロの脅威を及ぼしたアル=カーイダの「新たな1ページ」がめくられることになる。

アル=カーイダ元メンバーで英諜報機関のスパイだというアイマン・ディーン氏は本紙に対して、「シリアにおけるアル=カーイダの支部であるシャームの民のヌスラ戦線が、シャーム自由人イスラーム運動などシリアで活動するイスラーム主義集団に対して、「あらかじめ準備された」計画に沿って、アル=カーイダから「正規に」分離する意向があると告知、その前段として「アル=カーイダそのものが今年中に解散を宣言するだろう」と述べている。ディーン氏は、1990年代末にアル=カーイダが「血に染まりすぎたとして」離反したにもかかわらず、現在もジハード主義者たちと広範な関係を維持しているのだという。同氏が昨日、本紙に対して明らかにしたところによると、「シャーム自由人イスラーム運動の複数の消息筋は、ヌスラ戦線内の同志たちから、アル=カーイダ指導者のアイマン・ザワーヒリー氏が自らの権威を放棄するか、権威を維持しつつも、世界中の支部の忠誠を解くことになるだろうと聞いた、と言っている」という。またこの措置は「イラク、シリア、エジプト、リビア、ナイジェリアでダーイシュが勢力を拡大し、さらにはイエメン国内への浸透を受けた」ものだと付言した。

ディーン氏はまた、アル=カーイダとつながりを持つことが、シリアで活動するヌスラ戦線やイエメンで活動するアラビア半島のアル=カーイダがそうであるように、地元の紛争に関与する支部にとって負担になっているとも指摘した。同氏は、アル=カーイダとのつながりを解くことで、ヌスラ戦線にはシリアの他のジハード主義組織との同盟締結の余地が生まれ、また先月(3月)にジハード主義者たちの同盟によってイドリブ市が陥落したシリア北部において、「首長国建設」の計画を復活させられるとの考えを示した。

ヌスラ戦線がアル=カーイダから分離するかもしれないとの情報が流れたのはこれが初めてではない。同様の情報は数週間前にも流れたが、そのときはヌスラ戦線が声明を出し、分離の意思はないと否定していた。ヌスラ戦線指導者(アミール)のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏は、イドリブ市「解放」に合わせて発表した音声声明において、同地に「首長国」を建設するとの意思は示していない。しかし、同地で「シャリーアの支配」を確立する必要があると述べ、ファトフ軍の主導のもとでイドリブ市を襲撃したのと同じように、他のジハード主義組織との同盟の枠内で活動を続けると強調している。

ザワーヒリー氏は、2011年5月にパキスタンのアバタバードで米特殊部隊によってビン・ラーディン氏が殺害されたのを受け、同年にアル=カーイダの指導者となった。ザワーヒリー氏は組織の拡大をめざし、2011年にはソマリアに正式な支部「シャバーブ運動」を、また2014年9月にはインド亜大陸に支部を立ち上げたと発表した。また、アラビア半島のアル=カーイダ、イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダ、シナイ半島のアンサール・バイト・マクディス、シリアのヌスラ戦線などを傘下に置いていった。しかし、とりわけシリアの支部をめぐる不和が、アル=カーイダに拡張や勢力拡大ではなく、解体と衰退をもたらす主因になったと考えられている。ザワーヒリー氏は、バグダーディー氏(イラク・イスラーム国)と対立するジャウラーニー氏(ヌスラ戦線)を支持し、バグダーディー氏に対して、イラクに退き、シリアの問題をヌスラ戦線に任せるよう求めた。しかしこの要請をバグダーディー氏は拒否し、シリアとイランを隔てる「サイクス・ピコの国境線」を廃するかたちで対抗し、両国を包摂するかたちで、イラク・シャーム・イスラーム国(ISIS、ISIL)を結成し、2014年には同組織をカリフ国家(イスラーム国)に改称した。それ以降、バグダーディー氏は、アル=カーイダの支部組織と目されてきたアラブ世界各地の多くの集団を引きつけることに成功し、これらの組織から忠誠を勝ち取り、カリフ国家の「州」として位置づけていった。例えば、リビアには「トリポリ州」、「バルカ州」、「フェザーン州」を名乗る三つの傘下組織があるほか、エジプトには「シナイ州」、アルジェリアには、イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダから離反した「カリフの兵」を名乗る集団がある。





シリア情勢に関しては「シリア・アラブの春顛末記」も参照ください。

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( 翻訳者:青山弘之 )
( 記事ID:37239 )