息子を失った母親が本紙に激白「心が震え、刑執行目前で殺人犯を赦しました」(5)
2015年06月02日付 Jam-e Jam 紙

 殺人の被害者の母親は刑が執行されようとしていた時について、こう語っている。

手足を拘束された状態で死刑囚が部屋に連れてこられたとき、その姿を見て私の心は打ち砕かれました。彼の様子をみて、私は不快な気持ちに陥りました。彼は沈黙していました。そして部屋には重たい空気が立ち込めていました。

私は彼に、なぜ息子を殺したのか訊きましたが、彼は黙ったまま、うつむきました。彼が唯一語った言葉、それは「お母さん、私を許してほしい。私はあなたとあなたの家族にとても悪い事をした。私は死んで当然です。刑を執行して下さい。そしてただ、私を許してほしい。私は過ちを犯しました。そして今、私はその代償を支払わねばなりません」というものでした。

私は、彼がキサースに処せられ、息子の墓に行って「あんたの仇をとったよ、あんたを殺したヤツは、その報いを受けたよ」と墓前で報告することを、強く望んでいました。しかし彼が目を隠され、処刑台へと連れて行かれてから数分後、私は気分が悪くなりました。執行に向けてすべての準備が整いました。刑執行まで残りほんの数秒まで、私は依然として刑の執行を強く望んでいました。

その時、私の心の中には混乱が生じました。今私が奪おうとしている彼の命は、私が与えたものではないのではないか。私は叫びました、神の御心に従い、彼を赦します、と。私は激しく動揺しました。殺害犯の首から縄を外そうとしましたが、手が震えてできませんでした。すぐに、刑執行現場にいた上の息子に、縄を解くよう頼みました。こうして彼は命を取り留めたのです。

彼がこの赦しの意味をしっかりと理解し、悔い改めて、釈放後、私が彼に対して行った赦しを後悔するようなことのないよう、健全な生活を送ってほしいと願わずにはいられません。

 この母親にとって、殺害犯を見ることはいまだ辛い経験を呼び覚ましてしまう。そのため、彼は釈放後、この街から出ていくことが条件として課された。彼女の息子たちは慈善活動を行っており、マアスーメは「もし私が殺害犯を赦さなかったとしたら、息子たちの行いに対して与えられる〔天国での〕報いもムダになってしまったでしょう。そうなれば、私は彼らにどう言い訳をすれば良いのか分からなかったはずです」と述べている。

 現在、マアスーメは「赦し」の甘美な味を味わい、子供を亡くしたその他の母親たちから〔キサース刑免除の〕同意を取り付けるために奔走することを決心している。そのため彼女は今、ある母親がキサース刑執行を断念してくれるよう、ハメダーン州を訪れているところだ。

 彼女はこのことについて、次のように話している。「殺人犯の中には、罪深くない人間、危険ではない人間もいます。ただ一時の怒りによって殺人に手を染め、己の行動を後悔している人もいるのです。こうした殺害犯は赦され、生きるチャンスを与えられねばなりません」。

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( 翻訳者:RYT )
( 記事ID:37854 )