シリア:ホムスにおけるムスリムとキリスト教徒の共存
2015年09月09日付 Al-Ahram 紙


■おとめマリアの帯…とモスク

ホムスでの周遊の間、私は「ベルトの聖母(ウンム・ズンナール)」教会を訪れた。この名前はおとめマリアの帯(ズンナール)あるいはベルトに因んで付けられた。ベルトが発見されたのは1953年だが、教会は世界最古の教会の一つであり、西暦59年に建てられた。

同教会はシリア正教会の教会で、全キリスト教徒にとって有名な巡礼地の一つである。私は伝統的な教会に付属している古い考古学建築がある地下へと降りる機会を得た。それは地下の洞穴に似ており、ユダヤ人とローマ帝国の迫害から逃れたキリスト教徒を守るものだった。そこは武装集団によって隠れ家、またホムスのかつての作戦司令室として用いられたこともあった。今日では、礼拝が鐘の鳴る教会に戻ってきた。そして、激しい宗派的多様性にもかかわらず、いまだにシリアのムスリムとキリスト教徒との間を「友愛」が覆っている。

これを示す話として、我々はタルトゥースからホムスに来るにあたり、新しいモスクを訪問するよう招待を受けた。同モスクは芸術的な建築と見なされており、「おとめマルヤム(マリア)・モスク」という名を冠する。それは、シリア人に対する多様性の中での平和というメッセージに基づき、シリア人男性の寄付によって建設された。

モスクの若いイマーム、アブドゥッラー・ムハンマド・サイイドは、我々に対して、「この名前を持つモスクはアラブ世界とイスラーム世界で初めてである」と強調した。そして、一部の過激主義者がこのモスクの命名に激しく反対したと述べた。彼はこう切り返したという。「クルアーンの一章がその名(マルヤム)を冠するならば、どうしてモスクにその名を付けないだろうか?」

この決定的な話題のあと、アブドゥッラー氏は我々をモスクの窓に案内した。私はその窓から、ムスリムとキリスト教徒、そして現在の戦争で命を落としたシリア軍の戦闘員の墓を見た。それらは全て一つの場所に隣り合って建てられており、死後も彼らは分裂や区別を拒んでいる。

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( 翻訳者:井森彬太 )
( 記事ID:38639 )