シリア:「自由シリア軍」南部戦線所属部隊がイスラエルとの合意に基づき、シリア領内に人道支援物資を搬入
2016年06月08日付 その他 紙

■イスラエルは非難のただ中でクナイトラ郊外に人道支援物資を搬入

【ホムス:ハイサム・ムスタファー、ARA News】

水曜日の朝、イスラエル国境の町イッシャの通行所からシリア南部のクナイトラ郊外県の町にイスラエル政府から提供された人道支援物資が搬入され、「自由」県議会(訳注:後述の暫定政府傘下の議会のこと)は援助配給を非難した。

人権活動家でクナイトラ郊外出身のアーミル・アーミル氏がARA Newsに述べたところによると、「今朝イスラエル側からクナイトラ西部郊外にあるイッシャの通行所に大量の人道支援物資が搬入された。そこには砂糖、米、乳児用ミルクなどの食料物資が含まれている」という。

同氏はまた「支援物資搬入の担当者は、南部戦線(訳注:ヌスラ戦線などのイスラーム過激派と共闘する「自由シリア軍」を名乗る武装集団)のシリア革命家戦線という組織で、同組織はイッシャの町とそのイスラエルとの国境の通行所において大きな影響力を持っている。この通行所は、イスラエルと同組織の間でなされた合意によって最近開放されたが、今に至るまで依然合意の条文は不明である」と付言した。そのうえで次のようにも述べた。「支援物資の受け取りはクナイトラ県議会の監督のもと行われた。この議会はシリア革命家戦線自身によって、組織の活動の隠れ蓑としてこの地区において発足されたものである」と。そして「この議会は暫定政府(訳注:トルコのイスタンブールで暮らすシリア国民連合傘下の組織)に結びついた正当な議会と一切関係がない」と強調した

アーミル氏は「支援物資にヘブライ語が記載されていたことを受けて支援の出所が特定されたとき、大多数のクナイトラ県民が支援物資の受け入れを拒否した。一方、一部の熱狂的な住民は、「ユダヤの食べ物を食べるくらいなら餓死した方がいい」と言いながら物資を燃やした」と付け加えた。

暫定政府のクナイトラ県議会は声明を出し、その中で「敵国イスラエル」から送られてきた食料パッケージを配ったことを激しく非難した。この声明によると、このパッケージは「裏切り者の手先」が「無実の」市民に割り当てた物であり、そこには明らかな「ユダヤの表現」が記載されていた。そのうえで「こうした卑劣な行為には沈黙できず、この反逆好機にかかわった者全員を法務局に差し出す」と述べた。

シリア政府の支配下にない地域にイスラエル側から人道支援物資が搬入されるのはこれが初めて。一方、複数のアナリストはこの行為に関して「政権による新たな詐欺行為で、反体制派がクナイトラ県のイスラエル政体の一部をなしているように見せることを意図した宣伝活動の一環だ」と評している。

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( 翻訳者:高見佳・友添日向子・若松南菜子 )
( 記事ID:40641 )