イエメン:戦争が及ぼすラマダンへの影響
2016年06月10日付 al-Hayat 紙

■イエメンのラマダーン…戦争がその喜びを妨げている

【サナア:サーリフ・バイダ―ニー】

 今年はラマダーンが戻ってきた。しかし、それはイエメンの人々が望んだようなものではなかった。イエメンは、吹き荒ぶ継続的な戦争や高まる政治的闘争、そして深刻な経済危機を背景とした日々の負担を背負う中で、疲弊している。

 サナアを特徴づけていた数々の光景が消えた。イエメン朗誦のようにラマダーンに際したイエメン独自の文化的な催しも消えてしまった。イエメン朗誦は、歴史に根づくサナアの特色の中でも特別なものであったが、こうしたサナアの特色は、人々のうめき声と、途切れることのない不平不満へと変わってしまった。その理由は、経済状況の継続的な悪化、それに伴う物価の法外な上昇である。さらに、去年から続いている停電に代表される基礎物品にかかる困難も理由の一つであり、人々の中でも裕福な者は太陽エネルギーによって電気をまかなっている。そして、石油製品や料理で使われる家庭用ガスが完全に不足していることも、理由の一つだ。

 同様に、諸勢力間の闘争はイエメンの人々の心に暗い影を投げかけた。大通りや市場、モスクでは政治的スローガンが入り乱れ、特に平和なサナア旧市街の景観や精神に汚染をもたらした。サナア旧市外の壁と小道が、未だかつてない戦地の拡大をうけて、嘆き悲しんでいることは明らかだろう。

 サナア旧市街の壁の中では、まだ人々の営為が道々に広がっている。日没のお祈りの時間が来ると、人々は家とモスクの間をせわしく行き交い、道が少しずつ大きくなる。そして、人々が小川の水のように市場になだれ込むと、サナアはまるで見捨てられた町のように見えてしまうのだ。

(後略)

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( 翻訳者:熊谷 真結子 )
( 記事ID:40658 )