シリア:トルコとロシア、アメリカを巡る新たな動き(3)
2016年07月14日付 al-Quds al-Arabi 紙

■[社説]オバマの最後の仕事は……イランとロシアにシリアを引き渡すこと?(3)

【本紙:社説】

トルコの新たな方向性への回帰は、この段階でのいくつかの不明瞭な点を説明することができるかもしれない。それはトルコを取り巻く諸外国のあらゆる優先事項を再設定する必要をも明らかにするものである。この方向転換は、トルコが自らの存在について真に恐れていることを映し出している。その恐れの理由は、トルコが抱える大局的・地域的な争いに要約することができるだろう。その最も重要な要素は以下の通りである。

・ アメリカ政府が5年の長きにわたってシリア問題に関するトルコのすべての取り組みを失敗させたこと。
・ 〔シリアでの〕激しい攻撃に対するアラブ諸国の、とりわけエジプトにおける、アンカラ政府への集中的な抗議。
・ (トルコ・シリア国境上空における、トルコによるロシア・スホーイ戦闘機の撃墜に続いて行われた)ロシアによるトルコへの経済制裁の影響。
・ シリアにおけるクルディスタン労働者党の台頭と勢力拡大に関するアメリカ政府の庇護。
・ 約200万人に及ぶシリア難民の受け入れから生じた甚大な経済的・政治的責任。
・ 「イスラーム国」とクルディスタン労働者党の双方によるトルコ国内での残虐なテロ行為。

これらの出来事すべての最終的な結果として、トルコは、内部分裂を起こすか、アメリカのプランに屈するかのいずれかの選択を迫られている。このアメリカのプランは、シリアでの文脈に即して見れば、ロシアのプランに近いものである。それは、シリア問題においてロシア軍の腕力に頼るというもので、イラクにおいてイラン軍の腕力を頼ったことに似ている。

トルコを抑え、シリアに向けられるその爪を切り取るのは、もちろん、ゲームの管理人であるロシア人とイラン人に課された仕事である。それはシリア人だけの役割ではなく、中東地域だけのものでもない。

問うべきは、バラク・オバマが、任期を終える前に、この中東地域が彼に「料理した〔役割を用意した〕」仕事を行うことができるかどうか、なのである。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:阿部光太郎 )
( 記事ID:40900 )