エジプト:エジプト書籍協会は過去の愚を引きずっている
2016年10月06日付 al-Hayat 紙

■翻訳されたエジプト文学は結局倉庫行き

【カイロ:イーマーン・アリー】

英文読者のうち、マフフーズ・アブドゥルラヒームを知っている人は、ましてやエジプト総合書籍協会という組織が、彼を「現代アラブ文学」の名士として登記し、彼のテレビドラマを英語に翻訳すると決定したことを知っている人はどれだけいるだろうか。今日日、アフマド・シャウキーの二つの戯曲『クレオパトラの死』と『カイスとライラー』といった演劇作品の翻訳を含む2年前に出版された本を復刻することに、一体どんな意義があるのだろうか。

外国語に翻訳された作品名のリストを(同協会のリスト)調べてみると、毎回、文化大臣の決定によって任命される同協会の会長の気分で、翻訳プロジェクトが印刷にいたることに気づく。
ナースィル・アンサーリー氏が会長を務めていた時期(2005~2009年)は、彼がパリにあるアラブ世界研究所で高位の役職についていたことから、フランス語への翻訳が圧倒的に多かった。著名な詩人であるサラーフ・アブドゥッサブール氏の時期はといえば、翻訳された作品の60パーセントが詩集であった。しかし、イッズッディーン・イスマーイール氏の時期において最も翻訳されたのは、古典作品であった。

エジプト総合書籍協会がいつアラビア語翻訳プロジェクトを始めるのかを知るのは難しいが、協会の製作の大部分が今も昔もお蔵入りとなっていることは確かだ。サミール・サルハーン氏の時期(1983年に始まり2006年の彼の死去まで続いた)には、「現代アラブ文学シリーズ」という名のプロジェクトが採択された。しかしこのプロジェクトは、数々のトラブルに苛まれ続けた。例えば、印刷に関わるトラブルであったり、他には書籍の展示と販売に際した海外側との調整業務に関わるトラブルであった。

サルハーン氏の死去と共にこのプロジェクトは中止となった。それから、サルハーンの後任であるナースィル・アンサーリー氏は「アラブ思想のタスディール」と銘打ってサルハーン氏の翻訳プロジェクトを復活させた。しかし、このスローガンのうち、「タスディール」はアラビア語で「比喩」を意味するのだが、英語の 「exporting」 の意味もあったため矛盾をはらむものであった。その結果、出版と翻訳というふたつの活動はどちらも真に商業的であり、文化的生産物を「商品」として取り扱っているかのような印象を与えてしまった。アンサーリー氏の上記のシリーズでは、15のタイトルが外国語へと翻訳され、彼は会長に就任するまでに74冊の本を翻訳するという成果を挙げた。これらの本はアラブ人とエジプト人の翻訳者によって翻訳された。

そして今日、4年間の空白を経てエジプト総合書籍協会は、新たなる展望なんぞ一切もたずに、またアラビア語を外国語に翻訳するプロジェクトへと舞い戻っている。同協会は故サミール・サルハーン氏のアイディアを「繰り返している」だけのように思われる。このことは、同協会による古い作品の復刻に限らず、偏にかつてのプロジェクトが依拠していた印刷の劣悪さを保ち続けていることにおいて、また原初的な翻訳である点で明白なのだ。それは純粋な学術上の古典翻訳である。

(後略)

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( 翻訳者:了源康平 )
( 記事ID:41445 )