シリアでの遺跡の盗掘問題
2017年04月25日付 al-Watan 紙

■一部の発掘機材の値段は十億シリアポンドに及ぶ…イドリブの民兵指導部の数百万ドルもの収入は遺跡の盗掘から

【イドリブ:本紙】

出土品の密輸業者らは需要を受け、躍起になって国際市場への供給を増やしている。これにより、盗掘物の一部の価格が下がっている。主にイドリブにおいて、武装集団の指導者を名乗る者たちが高価な機器を用い、違法な方法で発掘をしている。彼らのもとには数百万ドルが流れている。

発掘作業は当初、ザウィーヤ山、バリシャ山、マアッラト・アン・ヌウマーン郡にて、原始的な方法で行われていた。現地には、ローマ、ビザンツ帝国の時代の遺跡が多く残存し、そこには像、当時の貨幣、碑文、金の硬貨、金や銀が施された財宝が埋まっているとされている。現在では、最新の機器を使って、金属の種類によって金属の像や貨幣を探知している。

彼らの「仕事」は提供者らに大きな収益をもたらした。彼らの「仕事」に詳しい者が本紙に伝えたところによると、「(盗掘活動と)欧州の市場とを仲立ちするトルコ人やレバノン人の仲介人らが巨利を挙げている。欧州市場では、フランス、ドイツ、イギリスのような国で国際的な競売が行われている。」

各遺跡地には民兵の指導部の中に「戦争司令官」がいることが知られている。彼らは遺跡盗掘活動の収入の一部を配分する場合や、自らの民兵集団以外の者には発掘を許さない。発掘は治安面、道徳面、宗教面の制限や障害なく行われている。しかし、それによって遺跡地帯における被害、特に、五千年以上前からの粘土製の遺跡に甚大な被害が生じている。発掘作業は、「ファトフ軍」兵士らの中のイスラーム法に精通した者が言う、「遺跡の盗掘に関する法的根拠は正当である。」という見解に基づいて行われている。「ファトフ軍」は二年以上前にイドリブ県を制圧した。

探査機器の価格は、700米ドル~20万米ドルの範囲で、20万米ドルは10億SPに相当する。機器の価格は、地中から遺跡を発見し、墓の場所を特定し、その写真を購入希望者に光学写真で送るなどの能力次第である。発掘や土砂の搬出の労働者は、子供がやらされる。

安価な機器には「JULD MAX」、「G MAX」、「KD MAX」などがあるが、通常高価な機器は地下水の井戸を発見する作業に充てるために機器を製造している外国企業によって販売される。高額な機器を入手・購入し、数百万ドルの代金を、遺跡を海外に密輸してねん出する手段を持っているのは、武装民兵の指導者たちだけである。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:中鉢夏輝、本間倫子 )
( 記事ID:42561 )