私にはイランと戦争をする理由が見つからない(2)
2018年03月20日付 al-Quds al-Arabi 紙

■私にはイランと戦争をする理由が見つからない(2)

イスラエルとパレスチナの人々の間に和平が存在しない限り、イスラエルは、自国の承認や国交樹立を拒否するアラブ世界と争い続ける。イスラエルはシリアとヒズブッラーとほぼ戦争状態にある。イランはこの権力の空白地帯において指導的な大国になろうとし、それが故に、同国はサウジアラビアとその同盟国ともほぼ戦争状態にある。サウジと同盟国もまたアラブ世界での覇権を狙っているのだ。こうしたことは、イランとイスラエルの共通の利益にとっての強固な基盤になっているようだ。

そう遠くない昔、非公式であったにせよ、イランとイスラエルの間には大胆な同盟があった。これはシャーの時代のことだった。当時のイスラエル人たちはイランでまるで彼らの王のように自由に振舞っていた。イランはイラク・クルディスタンにおけるイスラエルの広範な軍事・政治活動の基盤だった。イスラエル保安庁がイランの恐ろしい「サヴァク」(イランの治安機関)を訓練していた。アメリカを例外とすれば、世界のすべての国の中で、イランはイスラエルに最も近しい友好国だった。

では何が起きたのか?イランの体制が変わり、シャーは駆逐され、宗教者であるアーヤトゥッラーたちがシャーの地位に取って代わった。シーア派イスラームの信仰の名においてイランはユダヤ国家を侮辱したが、宗教的イデオロギーは国家の主たる権益の代わりにはならない。この権益は形而下に与えられたもの、基本的には地理に則るものだ。国益は統治体制が変わろうと変化しない。最も顕著な実例はロシアだ。共産主義体制が崩壊し、右派のウラジミール・プーチンがそれに取って代わった。しかし彼は、何も起きていないかのように、ソビエト的な対外政策を続けている。当時のソ連が、ロシア帝国の対外政策を維持したように。

(3)に続く

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:本田美紅 )
( 記事ID:44535 )