エジプト:遺跡に迫る地下水の脅威
2018年05月04日付 al-Hayat 紙


■アレクキンドリアの遺跡が地下水に脅かされている

【カイロ:ジョージ・エドワード】

時の流れや地下で起きている地質的な変化に100年以上耐え続けてきたにも関わらず、アレキサンドリア県(エジプト北部)のカルムーズにある共同墓地コム・エル・シュカファを地下水が脅かし続けている。この脅威に対してエジプト考古省は、地下水の水位を第二レベル(注:第一レベルはこの共同墓地の最深部であり、既に完全に水没している)まで下げるプロジェクトと、当座の予防的措置として地下20メートルの深さに及ぶ揚水井戸を掘削するプロジェクトを実施することで対抗する。

コム・エル・シュカファ共同墓地は1892年に発見されて以来地下水の水位上昇の影響に悩まされてきたが、この共同墓地はランプや棺、水がめに代表される古代ギリシャ時代、ローマ時代の死者の埋葬方法の詳細を明らかにした。

コム・エル・シュカファ共同墓地の名前は、ギリシャ人の名前であるルクス・キラマイクスに由来する。そして現在コム・エル・シュカファがある村は当時ラクティスという名前を冠し、さらにそれ以前の時代ではラガディットという古代エジプト人の名前を冠していた。ちなみにプトレマイオス1世(プトレマイオス朝の最初ファラオであり、アレキサンドリアにプトレマイオス家の基礎を築いた)の治世のヒエログリフ碑文からこの名前が見つかっている。

コム・エル・シュカファ地区の発掘作業は1892年に始まり、1900年に偶然共同墓地の内一つの天井に空いた穴が発見された。この共同墓地はカタコンベ(地中を掘削して作る墓地の一種で、紀元1~3世紀頃に広まった)の一種であり、当時の同地区の主要な共同墓地であったと考えられている。

地下水の水位を共同墓地よりも低くするプロジェクトは2017年11月より開始され、計画には深さ40メートルに達する6基の井戸の掘削も含まれるとのことだ。

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( 翻訳者:堀嘉隆 )
( 記事ID:44743 )