コラム:アラブの諸政権とイスラーム主義者(1)
2018年09月22日付 al-Quds al-Arabi 紙


■モーリタニア大統領と、「イスラエルはイスラーム主義者より人道的である」という論理(1)

【本紙:社説】

複数の活動家やメディアは、モーリタニアのムハンマド・ウルド・アブドゥルアズィーズ大統領の表明に関心を寄せている。同大統領の表明から、彼が新しくて古い論理をもって、逸脱していることが伺える。その論理とは、様々な潮流があるにせよ、イスラーム主義者は「イスラエルよりも危険である」というものだ。これに関する同大統領の論理は、以下の言辞から徐々に展開される。「アラブ世界で起きている数々の悲劇は、勿論、パレスチナの占領に起因する。しかし、『宗教の政治化が、イスラエルが行ったことよりも大きな悲劇をもたらした』。アラブ諸国を支配していた諸運動も、政治的イスラームほどにはアラブ諸国を破壊しなかった。それゆえ、結局のところ、イスラエルはイスラーム主義者よりも人道的だ」。

勿論、同大統領が「仲間」、つまり人民に蜂起されたアラブの指導者たちを擁護するのは目新しいことではない。また、イスラエルに対して口先だけの敵意を向け、アラブの支配者たちの悪行を正当化することで保身をはかること、そして様々な宗派があるのにも関わらず、彼らを「イスラーム主義者」と一般化して扱うことも何ら新しくない。

同大統領が、自らの話に多少なりの論理性を望んでいたのであれば、(「イスラーム国」や「アルカーイダ」、また双方に類似する主体)過激なジハード主義の潮流に言及できただろう。この潮流自身が、民主制に合意する「イスラーム主義者」に対し不信仰者と宣言しているからだ(彼らは選挙に参加し、政党による平和的手段によって影響力を行使しようとする)。また、彼らはウルド・アブドゥルアズィーズ大統領と同じような形でイスラーム主義者を評している。同様に、この潮流はアラブの弾圧と抑圧の諸政権のように、イスラーム主義者の監視や拷問に荷担しているのだ。

(2)に続く

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( 翻訳者:藤木郁理 )
( 記事ID:45452 )