イラク:宗派が創り出した怪物(2)
2020年07月09日付 al-Quds al-Arabi 紙

■イラク:宗派が怪物を創り出すとき

【ヤヒヤー・カビ―スィー】

ほとんどの人は、怪物が正式に、形式的に公示される前に、この怪物の主な部分が出来上がっていたことを十分に了知していた。そしていわゆる宗派の利益を守るために、怪物を完成しなければならないという明確な決定がなされたことも承知していた。そして2010年から2014年までの間、だれもが、この危険なプロジェクトや、シリア国内とバグダード近郊でこの怪物に行われたさまざまな実験を目の当たりにし、耳にし、読むことになる。しかし彼らはみな口を閉ざした。沈黙がその場を支配した。結局は、宗派に従順で逆らわないやり方なら、どんな手段を使ってもいかなる場所ででも、宗派を守ることは決して悪ではないのだ!

ISISの出現以降、宗派は、怪物の製作者たちと手を組んで「十分なジハード」のファトワーをあざむいた。このファトワーはISISと戦うために国民に治安機関への志願を呼びかけたものだったが、完成された宗派の怪物を世に放つためではなく、怪物に神聖さを付与するためにこのファトワーが用いられた。宗派の誰一人として、どのようにして、なぜ、誰の利益のためにこのファトワーが歪められたのか、気にも留めなかった!それどころか事態は、怪物の製作者たちを越えて国家自体にまで及び、2015年には、国は法的保障なしに、国家財政法の枠組みの中で宗派プロジェクトに融資した。

(3)へ続く

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( 翻訳者:堀嘉隆 )
( 記事ID:49508 )