トルコ文学:オルハン・パムク新作は夜と人間に纏わる「フォトノベル」
2020年11月09日付 Milliyet 紙


『オレンジ』はオルハン・パムクのイスタンブルの夜の通りと人々に関してのフォトノベルだ。

最初のフォトグラフィ・アルバムである『バルコニー』においては、仕事部屋のバルコニーから見えるイスタンブルの景色、空へ、海、船へそしてこの景色の移り変わりへとその対象を向けたパムクは、今回は対象物を、自身のようにその小説の登場人物たちも彷徨い歩くのが好きなイスタンブルの夜の世界へと転換している。『オレンジ』は、各地区、通りそして人々の生活と共にこの生活から次第に失われていく色そして光への、写真を通じた嘆き悲しみの表現だ。

『一人ボディガードが付くことは、私のイスタンブルとの関係を完全に変えたのです。今や私はありとあらゆる場所に行く事ができます。(中略)
私の頭に長いつば付きのテッケ(帽子の一種)を被り、イスタンブルの最も端の、最も遠い幾つもの通りへ、最も危険な地区へと入り込むのです。そこでは誰一人として私のことを知りはしませんし、止めることなどなかったのです。すぐに僻地の地区でデジタルのライカ写真機を用いて写真を撮影し始めたのです。私は都市の全体を映し出すことが出来るだろう、なぜならボディガードがいるので、誰も私に干渉してくることはないーこの新たな状況は-私には非常に魅力的なものでした。
2008年と2014年の間に貧しい地区を、路上商人たちの間で展開する小説(訳注:2014年に敢行された長編小説『僕の違和感(Kafamda Bir Tuhaflık)』のこと)を執筆したために、タルラバシュ、カスムパシャ、フェリキョイといった場所で毎晩写真を撮りながら歩いたのです。』-オルハン・パムク

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( 翻訳者:堀谷加佳留 )
( 記事ID:50169 )