2023年の終わり、中東と世界の経済
2023年12月30日付 al-Quds al-Arabi 紙


■2023年の終わりに、中東地域と世界の経済はどのようにみえるのか?

【本紙】

私たちが別れを告げるこの年は、間違いなく困難な1年であった。しかし、それと同時に新しい年に希望の光をもたらしており、災難や戦争が増える中東地域の人々の苦しみに終止符を打つかもしれない。一方で、(中東地域の人々は)息を整え、より輝かしい機会が待っているかもしれない道へ方向転換する期間を、特に、丸一世紀以上というかなり前から絶え間ない苦難を背負っているパレスチナの人々がより必要としている。まず私たちが暮らしている地域の状況の特徴を描き出すことから始め、次に世界の水準に立って私たちの周りの特徴を考察する。

一年の最初の数か月は、サウジアラビアとイランの国交回復、イエメン和平交渉の進展といった地政学側面であれ、それによるインフレ率、食料価格、生活費を構成する諸要素の低下、相対的なエネルギー価格の安定、ドルに対する金利上昇圧力の低下といった経済的側面であれ、非常に楽観的な見通しを見せていた。しかし、最初の数か月は、ヨルダン川西岸地区や東エルサレムのパレスチナ人に対する攻撃行為が数か月にわたって激化した後にガザで勃発した戦争の萌芽も抱えていた。

イスラエルがパレスチナの人々に対して仕掛けた殲滅戦争は、経済的な不確実性や不安定性の要因を優位にし、年初めに近づいていた和平の機会を失わせてしまった。同様にこの戦争は、その地域の他の戦線に、ないしは域内水準一般において拡大する危険性をはらんでおり、紅海での航行の混乱、観光と輸送の動きの悪化、エジプト、イスラエル、ヨルダンの間のエネルギー供給の衰退として明白に現れている。スーダンでの戦争の継続、またその終戦のための外交的働きかけの失敗により、スーダンの人々の苦難は続いている。同様に、レバノン、ヨルダン、エジプト、チュニジア、イエメン、イラク、シリア、リビアも、地政学的、地経学的の二重圧力の影響にさらされている。それにより、特にレバノン、エジプト、チュニジア、スーダンのような、重い債務負担と、国内通貨価格の急激な低下に苦しむ国々では、国民に対する日々の生活への困難や圧力が増加している。

(後略)

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( 翻訳者:森川明穂 )
( 記事ID:57046 )