イラン-アメリカ間交渉が行き詰まっている2つの根本的な理由
2025年05月21日付 Hamshahri 紙
数か月にわたるアメリカとの4度の間接交渉の経験は、アメリカ側がいくつかの根本的な理由によりイランとの真の合意を目指していないことを示している。
【ハムシャフリー電子版】ファールス通信によると、数か月にわたるアメリカとの4度の間接交渉の経験が示しているのは、アメリカ側がいくつかの根本的な理由によりイランとの真の合意を目指していないということだ。
◆理由1: 核爆弾の問題ではない; イランは原子力産業を有してはならない
トランプ氏は就任当初から今日に至るまで、イランについては常に1つの発言を繰り返し続けている。「我々の望みはただ一つ、イランが核爆弾を所有しないことだ」。しかしこの主張は交渉の場での発言とそれほど一致していない。
問題なのは、低レベルのウラン濃縮で核爆弾の製造が可能であると信じているアメリカ人専門家は、米国内であれ国外であれ、1人として存在しないことである。核兵器の製造には90%以上の濃縮を必要とする。
イランと国際原子力機関との旧来の協力関係は、近年も続いている。イランは最も厳格な監視プロトコルの枠組みにおいて最も多く監視を受け入れており、さらに再度、協力をより緊密にする姿勢を見せている。JCPOA(包括的共同作業計画)の際イランは追加議定書の範囲をも超えて協力し、IAEAの査察は非常に広範であった。したがって、もしイランが高レベルの濃縮活動を行うならば、相手側は即座に気づくことになるだろう。
しかし現在、アメリカ側の問題は濃縮レベルではない。彼らはイランが1%さえも濃縮活動をする権利がないと言っている。フォアード・イーザディー氏[テヘラン大学准教授]は以下のように述べている。「イランはいかなる濃縮活動も行ってはならないと言われているが、20%以下の濃縮活動は核爆弾とは無関係だ。このことは、論点が核兵器製造の防止という主張以上のものであり、アメリカが明示していない別の目標を追求していることを表している。
◆理由2: 制裁解除に関する曖昧さ
前述のとおり、相手側ではイランの原子力産業の解体が主張されているが、これはアメリカの唯一の問題ではない。彼らはイランの原子力産業の解体と引き換えに、イランに何を与えようとしているのだろうか?
イランはアメリカの対イラン制裁の解除を求めている。またイランが原子力分野において受け入れるいかなる制限にも、制裁の面でそれに応じた意味あるものを伴うべきなのは当然のことだ。しかし最近の複数回の間接交渉の経験は、アメリカが制裁問題の解決のためにイランへ具体的な約束さえするつもりがないことを示している。
もちろん、このアメリカの行動の曖昧さには重要な理由がある。フォアード・イーザディー氏は、制裁問題において曖昧であることの根本的な問題は、米国政府の権限における制約に起因すると見ている。イーザディー氏は以下のように考えている。「原則的に制裁は、それについて明確に発言したり直接的に行動したりすることを望んでいるアメリカ政府の権限下にはない。制裁については主に議会が権限を有する。もし制裁を停止するとした場合、これには2種類の承認が必要であり、それは制裁に関する法令の本文に最初から記載されている承認規定または議会が別途議決する承認である。多くの制裁法は当初からこのような承認規定を有しておらず、有していた場合にもここ10年の間にこのような条項は削除されている」
一方で、現在米国議会の雰囲気は極めて反イラン的である。議員らは制裁の緩和や停止に消極的であるのみならず、圧力を強めようとしている。
この点については、最近共和党上院議員52名がトランプ氏へ提出した書簡がこの問題をより明確にしている。この書簡において、イランは濃縮活動を停止するのみならず、すべての核計画を完全にやめるよう述べられている。この立場は下院でも繰り返され、共和党議員の大半がこれを支持した。
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( 翻訳者:TM )
( 記事ID:60309 )