イラン、ロシア及び中国は国連安全保障理事会に対する書簡の中で、我が国の核開発に関する事項は終了したと宣言;トリガー・メカニズムが失敗に終わる(2)
2025年10月19日付 Jam-e Jam 紙


−(続き)−

◆法の支配の終了と西側諸国への非難

 外務省が発表した声明の中で、決議の失効は一つの技術的な事象であるだけでなく、一方的なプレッシャーに対する外交の勝利の一つの象徴であると説明されている。声明の中では、決議運用規定第8項を引用しつつ、イランの核開発計画や関連するメカニズムについて見込まれていた制限を含む同決議のすべての規定は、この日を以て失効したと見なされる、ということが強調されている。この立場は、イランの核計画をNPTに加盟しているすべての非核保有国と同等とするものだ。これは、平和目的でのウラン濃縮を認めているNPTの規定に基づく権利である。

 分析を行うと、声明にはカギとなる二つの層があることを見てとれる。法的な観点から、欧州トロイカ(英仏独)による動きは違法であり裏付けに欠けると見なされる。なぜなら、この国々は制裁解除に関する主な義務の不履行という罪を犯したからだ。このため、安保理も2つの常任理事国(中国、ロシア)の反対を受け、制裁復活に関して何も決定することが出来なかった上、国連事務局にインターネットページの修正(例えば制裁委員会の設置に関する発表などがある)をさせている。

 政治的観点からも、イスラエルとアメリカによる攻撃が外交への裏切りとして強く非難されている点が浮き彫りになっており、両国のこうした行為は、国際法に違反しているだけでなく、核拡散防止体制を弱体化させる行動でもあった。この声明は、カンパラでの外相会議で決議の適時での失効を強調した、121の加盟国からなる非同盟運動と「国連憲章を守る有志国グループ」を評価し、すべての国に対し関連決議に記載のある制裁を行わないよう求めている。

◆トリガー・メカニズムの決然とした拒否と国連の組織改革の要請

 これまでの書簡に続く形で書かれたセイエドアッバース・アラーグチー氏の書簡は続けて、直接、国連事務総長(アントニオ・グテーレス氏)と安全保障理事会議長宛てられたもので、諸決議の失効を明決定的、かつ最終的なものとして通知している。書簡本文では、外交的ではあるが決然たる調子でJCPOAを外交に対する国際世界の共通の信念の象徴と位置付けており、アメリカやヨーロッパ諸国による違反の根拠を並べている。

 この書簡は、ヨーロッパ諸国によるトリガー・メカニズム発動の措置は有効性に欠けるとしている。なぜなら、JCPOAによる決められた紛争解決段階を踏まなかったからである。この問題に加えて、ヨーロッパ諸国は、自国が合意した義務を履行していないために、合意に盛り込まれた当該メカニズムの執行権限を持ち合わせていない。この書簡は、国連事務局が制裁の復活について独立して決定することを禁止している。なぜなら、国連事務局の役割は全体の管理で、どちらか一方の利益を代表するものであってはならない。書簡は、制裁委員会や専門家パネルの再設置を違法行為であると見なしており、我が国への制裁に関連する主張を安保理のウェブサイトから削除するよう求めている。

 また、我が国の外相は本書簡において、カンパラで非同盟運動が発表した、121の加盟国は決議のタイムテーブルを尊重する旨を強調した最終文書について触れつつ、イランの外交の力を強調している。それは、より詳しい言葉で説明すると、多国間主義をに依拠する、揺るぎない法的文書である。

 我々は、イランがNPTの義務を順守することで、国連における諸決議の脅威無しにその計画を進めることが出来る点で、決議第2231号の失効は一種の法的勝利であるということを理解しなくてはならない。しかし欧州トロイカとアメリカはトリガー・メカニズムの発動を法に適った行為であると認識しており、その他の安保理常任理事国、つまりロシアと中国はこれを問題視している。この二か国は、関連決議の失効を認めており、西側諸国によるイラン及び核合意に対する敵対的なアプローチを強く非難している。

◆エジプト外相がアラーグチー氏、グロッシー氏、ウィトコフ氏と協議を実施

 エジプト外務省は声明の中で、同国外務大臣がイラン外務大臣、IAEA事務局長、アメリカ中東担当特使とそれぞれイランの核問題に関し電話会談を行ったと発表した。これらの電話会談においては、イラン核問題に関して全当事国の利益を考慮し、地域の安定化に貢献する包括的な合意を得られるよう、イラン・アメリカ間で協議を再開できる状況を整える必要があるとされた。また、引き続き協議の再開に向けて努力し、電話会談を行っていくこと、そしてこの分野において期待される進展を得るために提案された構想の検討を進めることで一致した。

−(了)−

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( 翻訳者:KY )
( 記事ID:61195 )