政府側の歓迎、自然愛好家たちの反対 南米と欧州の自由貿易協定(FTA)

2019年06月30日付 Hamshahri 紙

南米とEU(欧州連合)の自由貿易協定(FTA)は、完全に実行される前に、特に自然環境への配慮の点から多くの抗議に直面している。

ユーロニュース(euronews.)によると、この自由貿易保護における協定は、6月28日金曜日に欧州連合とメルコスール(Mercosur)と呼ばれる南米南部共同市場のメンバーである南米のいくつかの国との間に締結された。欧州と、メルコスールを創設したアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国との協議は何年も前から行われていたが、欧州と米国間の経済問題に関する深刻な対立が起こった後、加速化した。欧州連合は米国との深刻な対立の解決が困難であると認めると、カナダやメキシコ、日本のような国々に目を向けるようになった。これらの国々との自由貿易が合意に至り、現在は協力の手を南米の国々にも伸ばそうとしている。南米が近年、米国や中国の市場における競争相手となっており、欧州にとって大きな投資の機会が増加しているという点を見落としてはならない。

 メルコスールと欧州の自由貿易協定は、別の観点からいうと、政策、特に自然環境に対する姿勢が世界中の他の国々の懸念を刺激してきたブラジルの右派大統領ジャイール・ボルソナーロにとっての切り札と見なすことができる。ボルソナーロ氏は以前、自由貿易を信じ、イデオロギーの偏見なしにすべての国との相互の貿易を望んでいると発表していた。


・メルコスールとの合意に対するマクロン大統領の慎重な歓迎
 メルコスールとの合意の支持者の一人であるフランス大統領エマニュエル・マクロンは先週、もしブラジルがパリ協定から離脱するのであれば、フランスは南米諸国との自由貿易協定に調印しないと脅迫した。
 しかしマクロン氏は大阪G20の終わりに、再度パリ協定の内容を保証することの重要性を強調し、アメリカを除く19か国がパリ協定を遵守すると発表したと述べた。
 フランス大統領は同様に、この中でのブラジル大統領ジャイール・ボルソナーロの役割を称賛し、彼のパリ協定への遵守は、19か国が調印したG20の大阪宣言でこの合意の実行の重要性が言及される要因となったと強調した。
 マクロン氏は続けて、パリ協定の基本方針から現在まで逸脱はしてないことに言及し、地球温暖化現象に対し、より多くの方策が採られることが望ましいとし、以下のように主張した。「協定に調印した国々は2015年の協定書の内容の完全な履行のためにさらなる歩みを進めなければならない」

 エマニュエル・マクロンが南米の国々との自由貿易協定に言及する中で、この協定については歓迎するが、その実行に関しては少し慎重であるべきだと述べた。マクロン氏はこの合意の締結のために望まれたすべての慎重論は、協議参加国から提議されたと説明する。
 フランス大統領はこれに関し、協定書に含まれる3つの重要な点について言及している:最初に、パリ協定とそれに対して最初から一貫して現れているブラジルの主張、次に欧州における衛生・環境上の規定への配慮、最後に、農産物、特に砂糖や肉の輸出分野における制限された割り当て量といった繊細な部分についてである。
 エマニュエル・マクロンが提示した最後の部分は、以前に南米との自由貿易協定の実施に関してフランスの農業従事者たちから上がった懸念に配慮されて述べられた。これに関するフランスの農業従事者たちの最大の懸念の一つは、メルコソールの4カ国から約99000トンの牛肉がヨーロッパに輸出される可能性と関係している。フランスの農業従事者と畜産業従事者は、関税の支払いなしに行われるこの輸出は不公正な競争の原因になり、85000軒以上のフランス畜産従事者の経済利益が危機に陥るだろうと信じている。

・自然活動家たちの深刻な最初の反応
 一方で、南米との自由貿易協定を実行することは、フランス政府にとって矛盾した姿勢を示すものでもある。自然活動家が認めることには、エマニュエル・マクロンによるパリ協定の完全履行の主張は、彼が結ぶ自由貿易協定によって得られるであろうものと、論理的一致がない。
 自然愛好家たちは、大豆のような作物をヨーロッパへの輸出のために大量に生産することは、南米の国々に自然環境法の違反を促すことになり、その最初の結果は森林破壊となると信じている。自然活動家たちはこの件について、アマゾン地域の森林破壊に批判的な立場を例に挙げて言及している。
 これを根拠に、フランスやドイツ、オランダのグリーンピースの活動家たちは、金曜日フランスのモンペリエの近くに位置するセート港で、5万トンの大豆の積荷の積み下ろしを妨害するために集会を開いた。
 この大豆の大きな積荷は、主に家畜のエサとして南米からヨーロッパへ輸出されたものであり、グリーンピースの活動家たちの見地によると、森林破壊を犠牲にして生産されたものである。この貨物はブラジルのサルバドール港から積まれ、未だにフランスのセート港の船の中で積み下ろしされないままでいる。
 サルバドール港から輸出された大豆の89%はカンポ・セハードで生産されていると言われている。この地域は、最も大きな破壊と荒廃の危険にさらされた、ブラジルの重要な森林地帯のひとつである。
 グリーンピースの活動家たちは、日曜日の朝、30度を超える熱気の中セート港にあらわれ、南米で生産された大豆の貨物の積み下ろしを許さないことを今一度強調した。


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翻訳者:Y.K.
記事ID:47233