野党6党合意の「議会制強化案」

2022年01月13日付 Cumhuriyet 紙
「強化された議会制度」への取り組みに関して、ビュレント・カヤ至福党副党首は明らかにした。カヤ副党首は「再び大統領の下へと送るためには301票も必要ない。その日に議会に出席していている者たちの単純多数である184議員が賛成票を投じれば、賛成者が反対者よりも多ければ、再度提出することはないものとして、大統領に送ることになるだろう。」と述べた。

「強化された議会制度」に取り組んでいる野党6党は、用意した共同文書を公表する準備を進めている。「強力な[権限を持つ]首相」を強調する制度への取り組みでは、大統領の「拒否権限」が「差し戻し権」へと変えられる。大統領が差し戻した法案が再び承認されるためには「特別多数」ではなく「単純多数」で十分となる。そしてその法案は[議会での]再審議がないものとして、再び大統領のもとへと送られる。

トルコ大国民議会で昨年の10月に集まった野党6党は、「強化された議会制」への取り組みを始めた。共和人民党ムハッレム・エルケッキ副党首、善良党バハドゥル・エルデム副党首、未来党アイハン・セフェル・ウストゥン副党首、民主・進歩党ムスタファ・イェネルオール副党首、至福党ビュレント・カヤ副党首、民主党ビュレント・サヒナルプ副党首による協働の結果、声明文が用意され、6党の各党首へと提出されていた。

■詳細が明らかになった

[各党に送られた]声明文に関する取り組みは各党の担当部署で続いている。作業が完了次第、「強化された議会制度」の提案は党首たちによって公表される。

入手した情報によると、大統領の「拒否権」は「差し戻し権」と改められる。[新たな制度では]大統領は議会で成立した法案を再審議を求めて議会に再送する。ただし、[議会に]再送されたその法案を大統領へ再び提出するには出席している国会議員の単純多数で十分となる。また[この際]当該法案は再度[議会に]差し戻しされることはないものとして、大統領に提出されることになる。

この件に関して、ビュレント・カヤ至福党副党首はANKA通信社のブルジュ・カフリマンへ、以下のように述べた。

■首相は大統領の後見をうけなくなる

「我々が新たな制度で実施したいことは以下のことである。強力な首相、強力な内閣の存在が必要である。今日の制度との違いは何か?今日の制度では、集団的な政府の問題に言及がなく、大統領の署名で行われる手続きのみに言及されている。つまり、首相に匹敵する今日の大統領の立場のことである。しかし、議会制度の本質とは、閣議により共同署名によって政府方針を方向付けていくことである。故に、この意味で、首相は、各閣僚を任命する際、上級官僚の役職を任ずる際、あるいは政府に関わる行政行為を遂行する際に、大統領の後見に服しないようになる。したがって、大統領は、実政治に関わらないようになるが故に、国民の一体性と連帯を確保するという点で、党を超えて、社会全体に受け入れられる政治的ポストとなるのである。

■特別多数の代わりに単純多数

拒否権は以下のようである。立法に関連して大統領が送った諸々の法案は、現在我々が「単純多数」と呼ぶ、当日の会議に出席した議員の単純多数によって成立し大統領の下へ届いた際、大統領はこれを拒否する権利がある。これを改めて法案化するには、301票、つまりさらなる特別多数の票数が必要になる。これは、「大統領の拒否権」と呼ばれている。我々は、これを「大統領の差し戻し権」へと変えようとしている。確かに、大統領は法の修正を再審議するために議会へと差し戻すことができる。しかし、今回の案では、[2回目は]議会が更なる多くの票を得てこれを大統領に再提出するといった高いハードルを設けないものとする。同じ内容であれば、再びそのまま法案化をはかり、提出するができることになる。「拒否権」と「差し戻し」とは異なるので説明している。現行では、特別多数によって大統領へ同じ法案の再提出ができるようになっている。我々が導入を予定する制度では、いわば「もう一度審議せよ」という形での「差し戻し権」として整備している。つまり、大統領に再提出する際には301票を要しない。当日議会にいる議員の単純多数である184人が賛成票を投じれば、賛成票が反対よりも多ければ、当然、改めて大統領に[同じ法案を]差し戻すことがないよう議会は提出することになる。

■首相は自らが適切と考える人事を遂行できる

官僚の任命、大臣の任命における本質は首相の意向である。国民に対して説明を行い、行政遂行に際し法律的、政治的責任を負うのは首相であるからである。つまり、大統領にはいかなる法律的、政治的責任もない。そのため、実際に首相が責任を負っているのならば、自らの職務遂行を、自らが適切と考える人事を実行できるべきである、当然、憲法が認める範囲で。

従前の議会制度では、首相は職務遂行に際に大統領を説得し、大統領の承認を得る必要性を感じていた。それ故に、希望する多くの人事を実行できずに、大統領の意向をくんだ人事となっていたり、大統領によって拒否された人物達と職務遂行せざるを得なかった。[我々が想定する]新制度では、首相はこうした件で、つまり大統領を改めて説得したり、承認を求めて余分な時間を使わずに済むことになるだろう。重要なのは首相によって行政権が行使されることなのだから。」

■大統領は人事を滞らせない

「責任は首相にあるため、人事も首相自身が行う必要がある」と話すカヤ至福党副党首は次のように続ける。

「国民の一体性(を確保し)、国家機関間で生じる意思疎通の不足、調整不足をなくすことになろう。しかし、確かに大統領は国民を代表する地位にあるため、首相が伝える人事は、大統領の署名を介して官報に伝達されることになろう。つまり、手続きを完了するのは大統領の署名となる。しかし、大統領の署名はいかなる時も人事を遅らせたり、あるいは[実効的採否の]署名といったものとはならないであろう。」


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翻訳者:村田七海
記事ID:52174