野党6党「強化議会制」合意に共同署名

2022年02月28日付 Hurriyet 紙

共和人民党(CHP)ケマル・クルチダルオール党首、善良党(İYİ)メラル・アクシェネル党首、至福党(SP)テメル・カラモッラオール党首、民主党(DP)ギュルテキン・ウイサル党首、未来党アフメト・ダヴトール党首、民主進歩党(DEVA)アリ・ババジャン党首らが、「強化議会制」に関する合意に署名した。

「明日のトルコ」のスローガンのもとアンカラのビルケント・ホテルにて行われた署名式には、野党6党の党首のほか、各党の副党首や議員たちも参加した。CHPのムハッレム・エルケキ副党首、DEVA党のムスラファ・イェネルオール副党首、民主党のビュレント・シャーヒンアルプ副党首、未来党のアイハン・セフェル・ウステュン副党首、善良党バハドゥル・エルデム副党首および至福党ビュレント・カヤ副党首は、6党の党首が合意した48ページ23条からなる合意文章に順番に目を通した。

■CHPエルケキ副党首「過去に戻るわけではない」
CHPエルケキ副党首は、トルコが長年望んでいた取り組みのために〔野党関係者が〕集まったとし、以下のように述べた。「『強化議会制』は〔現行の〕『大統領制』を終わらせるものですが、過去に逆戻りするものではありません。トルコ共和国の由緒ある国家と共和国によって、民主主義を勝ち取ろうとする取り組みです。世界とわが国における民主主義の経験に照らし、公正さを重視し、差異を豊かさと認め共に自由に生きること、社会の安寧と平和を守り、尊厳ある人間としての生活を全国民に保障すること、多元的主義かつ民主主義的なトルコを創りあげること、そして次世代にこの価値を受け継いでいくことを目的に、私たち6政党はこの場に集まりました。法治国家および権力分立の原則に基づく『強化議会制』によって基本的人権と自由と組織文化を保障することを約束します。」

■DEVA党イェネル副党首「大国民議会の発言権が拡大する」
DEVA党イェネル副党首は以下のようにコメントした。「強化議会制では、積極的で自由主義かつ多元主義に基づいた民主主義の原則に適合する、権力分立の原則や権限のバランスと監視のメカニズムに依拠した政府モデルを構想しています。私たちが考える政府は、公正な代表制と決定力ある行政の原則に等しく依拠しています。政府を弱体化せずに議会を強化し、議会を弱体化せずに政府を強くするという決意が私にはあります。このためにはまず、有効で積極的な立法府を重視しています。そのため『強化議会制』の肝である大国民議会の発言権を拡大させ、立法および法執行の監視を行う権限が付与されます。これにより立法府をより民主的かつ有効なものとしていきます。」

■民主党シャーヒンアルプ副党首「大統領は1任期のみ」
民主党シャーヒンアルプ副党首は「強化議会制においては大統領職の性質・期間・任務・権限が再編される」とした上で、以下のように説明した。「大統領と議会の任期を区別するため、大統領の任期は7年と定めます。私たちは、大統領が社会の様々なコミュニティや議会における政党に対し完全に中立な立場となることを目指しています。そのため大統領は1任期のみ選出されるという規則を設けます。『強化議会制』における大統領職は国民と国家の統一を象徴する中立の役職として整備します。ここで強調したいのは、大統領に選ばれた人物は所属政党との繋がりを断たれ、任期が終了した後はその後のキャリアにおいても再選されることはできないということです。国家の首長という属性をもつ大統領職を、象徴的な任務と権限をもつ役職として整備していきます。」

■未来党ウステュン副党首「複数弁護士会制を終わらせます」
未来党のウステュン副党首は「強化議会制」における最重要項目の一つとして、独立した中立の司法制度を挙げた上で以下のようにコメントした。「強化議会制においては第一に、司法に独立と中立を確立します。諸高等司法機関の独立と民主的な立憲制を強化していきます。裁判官と検察官の採用と昇進は客観的な基準に基づいて行います。簡易刑事裁判所の任務と権限、機能についても、法治国家の原則に従って新たに整備します。不逮捕特権の原則の適切な適用についても必要な対策を講じていきます。憲法裁判所および欧州人権裁判所の見解に沿った判決が下されること、またこれらの裁判所から出された判決が早急に適用されるような仕組みを作ります。職権濫用が生じた場合、憲法裁判所ないし欧州人権裁判所の下した権限違反の対象となり、国を損害賠償に追いやり国に損害を与えた裁判官や検察官に、賠償を求めたり発言の撤回を求めることができるようにします。また司法の基礎である弁護についても憲法の保護下に置きます。複数弁護士制を廃止します。」

■善良党エルデム副党首「国際的な条約を履行します」
善良党エルデム副党首は「強化議会制」は民主的な法治国家を基礎に置くと述べた上で以下のようにコメントした。「基本的人権および自由は、言語・宗教・宗派・人種・性・政治的・社会的帰属意識を区別せず、全人類が安全に暮らせるようにします。また国内法も国際的な基準に則って定められます。他者化を助長するような制度は完全に廃止されます。集会の自由・デモの実施に関する法律も、憲法裁判所および欧州人権裁判所の見解に基づいて再検討し、この権利に関する通告が当局によって好き勝手になされないようにします。『明日のトルコ』においては女性に対する暴力に関しても有効な対策を講じ、暴力を防止するための国際条約および国内法の規定を有効な形で実行していきます。」

■至福党カヤ副党首「管財人制度に終止符を打ちます」
至福党カヤ副党首も、優先事項として行政における平等・中立・能力主義・法への服従および透明性の原則を全面に出すと述べた上で以下のように述べた。「あらゆる公的な組織を、機能と権限をチェックしなおした上で必要において改革していきます。この文脈において、二重組織に終止符を打ちます。面接制を廃止し、筆記試験の結果を採用基準とします。公共入札法を刷新し、入札に関する法制を一つの法律で管理します。地方行政の権限と責任を増やします。選挙で選ばれた人を選挙で落とすことができる仕組みを作ります。」こうしたコメントの後6人の党首たちが舞台に上がり、「強化議会制合意」に署名を行った。


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る

同じジャンルの記事を見る


翻訳者:今城尚彦
記事ID:52742