ゼレンスキー、ギリシャ国会で演説、混乱招く

2022年04月08日付 Cumhuriyet 紙

ウクライナのゼレンスキー大統領は、参加したギリシャ議会の会議の場で、オスマン帝国内で「大ギリシャ」の理想を実現することを目指して結成された組織「フィリキ・エテルヤ」に言及した。

ウクライナのマリウポリで起きていることに関連して、ビデオ会議形式でギリシャ議会で演説を行ったウクライナのウォロデミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナが、ギリシャ人らによってキリスト教化した正教の国の一つであることに言及しつつ、ギリシャの人々と政府に対し、同国への支援に謝意を表した。

ゼレンスキー大統領は、議会の場で行った演説の中で、1821年にオスマン帝国支配下にあった地域で起こったギリシャ人の蜂起に言及し、「(今日)ヘレニズムのもう一つの大きな中心地であるオデッサも脅威にさらされている。歴史上の友愛会(フィ リキ・エテルヤ)はここで結成された。ギリシャで新たな友愛会が組織され、ウクライナとヘレニズムを救うために闘うと信じている。ギリシャの革命家たちは過去に、独立か死か、と言っていた。我々も今日、同じことを言っている」と語った。

■議員ら退席した

他方でゼレンスキー大統領が、ビデオ会議の中で、「あなた方に向けて、一人のギリシャ人として話します」と話し始めた、ネオナチのアゾフ大隊メンバーの一人に発言の機会を与えたことは、ギリシャ世論の反響を呼んだ。

Greek City Timesの報道によると、急進左派連合(SYRIZA)の議員達であるニコス・フィリス、トドリス・ドリツァス、ヤニス・ギオラスは、アゾフ大隊メンバーが映像に表れた後、会議を退席した。SYRIZAのリーダーであるアレクシス・チプラス前首相は、この件に関するコメントの中で、「ネオナチのアゾフ大隊メンバーがギリシャ議会で話しをしたのは挑戦的である。これは歴史的な不名誉である。ウクライナの人々との団結が問題であるが、ナチには国会での発言権はあってはならない。」と話した。これを受けてギリシャ政府報道官ギアニス・オイコノムは、「アゾフ大隊メンバーのメッセージが含まれることは間違いであり、不適切であった。」と述べた。

ゼレンスキー大統領は、ビデオスピーチを、ギリシャのカテリナ・サケラロプル大統領、カリヤコス・ミツォタキス首相、最大野党・急進左派連合の党首アレクシス・ ツィプラス、野党「変化のための運動(KINAL)」の議会会派代表ミハリス・カトリニス、ヨーロッパ現実主義不服従戦線(MeRA25)の代表ヨルゴス・ ロギアディスの面前でおこなった。ギリシャ共産党(KKE)、MeRA25、右派の「ギリシャの解決策」の会派は会合に参加しなかった。

■フィリキ・エテルヤ組織

フィリキ・エテルヤ(友愛会)は、ギリシャがオスマン帝国からの独立を目指し、1814年にエマニュエル・クサントス、ニコラオス・スクファス、アタナシス・ツァカロフという3人のギリシャ人によってオデッサで結成された。1820年4月12日に、組織のトップにロシアのツァーリであるアレクサンドル1世の側近アレクサンドロス・イプシランティスが就いた。

同組織は、ワラキア-モルドヴァ、モレア、クレタ島での蜂起に際して積極的役割を果たし、ビザンツ帝国の再興を望み、メガリ・イデア(偉大なる思想)に則り、今日のトルコ国境内に位置するアナトリアの地とイスタンブルを包摂する「大ギリシャ」を建設するため活動を行った。


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翻訳者:関口ひなた
記事ID:53243