シリア:ロシアとトルコが結んだ「非武装地帯」の設置に関する合意を脅かすシャーム解放機構

2019年01月27日付 その他 - Rudaw.net 紙

■ロシアとトルコが結んだ「非武装地帯」の設置に関する合意を脅かすシャーム解放機構

【ルダウ・ネット】

ここ2週間を通して、「シャーム解放機構」(旧:ヌスラ戦線)は、シリア北西部に位置するイドリブ県の大部分を掌握した。同機構によるこうした進軍は、同県への非武装地帯の設置をめぐるトルコ・ロシア間の合意にとっての脅威となるだけでなく、シリア政権軍が同県への攻撃を開始する可能性を高めるものでもある。

シャーム解放機構の戦闘員らは2週間以上前から、イドリブ県内でトルコに従属する諸派閥を狙った一連の攻撃を開始し、その後同県内にある多くの町村を掌握した。そして先週木曜日には、同機構の指導部は「シャーム解放機構がイドリブ県の大部分を支配する」との合意をトルコに従属する諸派閥と結んだことを明らかにした。

ロシアとトルコは昨年9月、後者国に近い諸派閥に対するシリア軍の攻勢を防ぐことを目的として、イドリブ県内に複数の非武装地帯を設立することに合意した。シャーム解放機構はアル=カーイダのシリア支部とみなされており、ロシア、トルコ、米国によって「テロ組織」として指定されている。そしてトルコは、同機構に所属する戦闘員らをこれらの非武装地帯から退去させるという使命を負っていた。

シャーム解放機構はトルコとロシアの間の9月の合意を、シリアで活動するアラブ系スンナ派反体制諸勢力を弱体化させることを目的とした「陰謀」であるとみなした。彼らは実際に過去3年間のなかで、支配していたほとんどの領域を喪失していたからである。つまり同機構は当初から、ロシアのソチ市で発表されたロシア・トルコ合意を受け入れる準備ができていなかったともいえる。

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は先週木曜日、「合意を維持することは当初から容易ではなかったが、その実施は成功に終わった」。

一方ロシア外務省は記者会見のなかで、自国がロシア・トルコ合意を遵守していることを強調しつつ、「合意への継続的な違反は我々にとっての懸念事項である」と述べた。

さらに、トルコ諜報機関と緊密な関係をもつ「自由シリア軍」高官はロイター通信に対し、「トルコ政府は戦争の範囲を拡大に歯止めをかけるための主要な役割を有していた」と語った。同高官によると、トルコに近い諸派閥はこれを実現するために、ここで提示した合意を受け入れるようシャーム解放機構に呼びかけたのだという。

(後略)


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翻訳者:国際メディア情報センター
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