NATO総会、エコノミスト誌「トルコは勝者」

2022年06月29日付 Hurriyet 紙

トルコ・スウェーデン・フィンランドによって署名された共同覚書では、「フィンランドとスウェーデンは、クルド民主統一党(PYD)/クルド人民防衛隊(YPG)及びトルコでフェトゥッラーテロ組織(FETÖ)として定義されている組織を支援しない」ことが合意された。合意は世界の報道機関において広く取り上げられた。英国のエコノミスト誌は、マドリードでのNATOサミットにおいて、トルコが拒否権[行使]の脅迫をやめる結果となった合意を「エルドアン大統領の勝利」と評した。

NATOのストルテンベルグ事務総長の仲介で、エルドアン大統領、フィンランドのニーニスト大統領、スウェーデンのアンデション首相が会談した。

約4時間続いた4人による協議の後、各人は共同宣言に署名した。

エルドアン大統領は、ストックホルムとヘルシンキ両政権のこの方針転換と、これを書面で伝えた後にNATOへの加盟を歓迎した。

世界の報道機関で第一面となったこの進展を、英国のエコノミスト誌は「エルドアン大統領の勝利」と評した。

同誌のインターネットページで公開された記事では、エルドアン大統領がサッカー選手だった過去に言及している。

エコノミスト誌は、フィンランドとスウェーデンに対しトルコが拒否権を散らつかせた脅迫攻撃は、まるでサッカーにおける「プロのファウル」であると書いている。

「トルコの大統領は、国際政治で要求を通すためにはプロのファウルをすることもいとわない。先月のスウェーデンとフィンランドのNATO加盟[要請]の足をすくうトルコの試みは、とりわけロシアがこんなにも脅迫的な環境を創り出していた中で、恐ろしいくらいに効果的だった。」

■ニューヨークタイムズ紙:プーチン大統領への打撃

ニューヨークタイムズ紙は、トルコが拒否権の行使をやめたことは、バイデン米大統領にとっての勝利であると述べた。また、この展開は「ウラジーミル・プーチン露大統領への打撃となった」と評した。

英国放送協会(BBC)ニュースは、スカンジナビアの二ヵ国が、ロシアによるウクライナ侵攻の後にNATO加盟を申請したと述べた。その上で、「現在、両国はトルコのいくつかの要求を受け入れている」と報道した。

ニューズウィーク誌は、「プーチン大統領による、NATO拡大を阻止する攻撃に対し、トルコからの打撃」と見出しを付けた。そして、トルコが拒否権の行使に固執した場合、両国はNATOに加盟できないと伝えた。

「プーチン大統領がウクライナ侵攻の際に訴えたいくつかの理由のうちの一つは、NATOの拡大を防ぐという彼の願望であった」と述べた同ニュースは、このことがフィンランドとスウェーデンにNATO加盟を申請するよう促したと強調した。

イスラエルに本拠地を置くハアレツ紙は、この展開を「トルコは望んだものを手に入れた」という見出しで報道した。

ワシントン・ポスト紙は、「火曜日に、トルコが同盟の拡大への道を開いた」と報道した。また、マドリードで開催されたサミットについては「近年最も重要なNATOサミット」と評した。

英国のデイリー・メール紙は、「トルコ、スウェーデン、フィンランドの指導者たちは、スカンジナビアの二ヵ国がNATOに加盟する道を開いた」と読者に伝えた。

「1949年4月4日に12ヵ国によって署名された北大西洋条約によって設立されたNATOは、今日30ヵ国の加盟国をもつ。新規国を同盟に受け入れるには、NATO加盟国30ヵ国すべての承認が必要である。」

■近年最大の拡大

報道では、ウクライナの侵略が二ヵ国をNATOに接近させたと指摘された。そして「これは、旧ソビエト圏の諸国が1999年にNATOに加盟して以来、最大の拡大である」と述べられた。

[アメリカの]ポリティコは、この拡大を「トルコは、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟という目標の障害を取り除いた」という見出しで読者に知らせた。

報道は以下のように伝えている。

「マドリードで集められた指導者たちは、もはやフィンランドとスウェーデンをNATOに招き入れるための公式な決定をくだすことができる。」

ドイツのビルト紙は、「トルコは、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟への反対を諦めた」と述べた。また、同意によって両国のNATO加盟の障害はなくなったと強調した。

マドリードでのNATO首脳会議前に開催された会談では、スウェーデンとフィンランドが[約束の履行を]公約した後、トルコは、これら二ヵ国がNATO加盟を申請するのを支持すると発表した。

合意によってスウェーデンとフィンランドが、テロ組織として認定されているクルディスタン労働者党と闘い、クルド民主統一党/クルド人民防衛隊を支援しないことを約束した、と伝えられた。

三ヵ国による外交覚書では、スウェーデンとフィンランドが「クルド民主統一党(PYD)/クルド人民防衛隊(YPG)及びトルコにおいてフェトゥッラーテロ組織(FETÖ)として定義されている組織を支援しない」ことが強調された。また、トルコと「これらのテロ組織の行動を阻止する目的で協力関係を増強させるという点で合意した」とも明らかにされた。

また「フィンランドとスウェーデンは、トルコが求める、保留中の[人物達の]国外追放あるいは強制送還要求に迅速かつ微細に取り組む」とされ、これらの手続きは欧州条約に従って行われると強調された。


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翻訳者:田原紗樹
記事ID:53665